第7章 【真紅の暴君】後編

クロウリー
「おっと、言い忘れてました。この決闘では、魔法以外の攻撃は使用禁止ですからね」


「「「えﾞっ」」」


3人が、学園長を見る。


それはもう「嘘だろ？」と言いたげな顔で。


クロウリー
「はっはっは！ルールを守って楽しい決闘！決闘手続きは明日には終わっていますので、挑むタイミングはご随意に」


学園長は、「では、私はこれで」と言って図書室から去って行った。


エース
「よ、よーし！魔法にはちょっと自信ないけど……何とかなるっしょ！」


デュース
「お、おう！」


ユウ
「本当に大丈夫？」


一気に自信なくしてない？


グリム
「オレ様の首がかかってんだから！きばるんだゾ！」


トレイ
「お前たち……」


反対したいけど、本人達が決めたことだから口出しできない……


ユウ
「トレイ先輩」


トレイ先輩の気持ちもわかって、私はトレイ先輩に向き直った。


ユウ
「僕も、決闘は正しいやり方ではないと思います。でも、それが、リドル寮長とちゃんと話すためのキッカケになるなら……意味はあると思うんです」


トレイ先輩の目を見つめながら、私はトレイ先輩の手を取った。


ユウ
「僕達が、リドル寮長を止めます」


トレイ
「ユウ……」


ハッとして、私はトレイ先輩の手を離す。


ユウ
「あっ、いや、闘うのは僕じゃないんですけど……」


ああああ、何やってるんだろ私……何か勢いで手ぇ握っちゃったし！


トレイ
「………」


トレイ先輩の表情は変わらない。


結局、トレイ先輩の心配をなくすことは出来なかったけど……トレイ先輩がこれ以上私達を止めることもなかった。


エース
「オレが寮長になったら、ぜってぇ『ボクが間違ってましたゴメンナサイ』って言わせてやるからな！」


パーティ前日と同じように、エースはここにはいないリドル寮長に向けて宣言する。


エース
「あと、変なルールで寮生をがんじがらめにするのも辞めさせてやる！」


ユウ
「うん……」


エースとデュースとリドル寮長の決闘……まずは、その作戦を立てなきゃね。


私も覚悟を決めて、グッと手を握り込んだ。