【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第1章 【WelcomeToTheVillains'World】前編
思いっきり叫んだお陰か、私は少しスッキリすることが出来て……
クロウリーさんに促されて椅子に座り、深呼吸をして気持ちを落ち着けた。
クロウリー
「貴女が嘘をついたところで、闇の鏡を欺くことなど不可能ということを失念していました。先程の言葉は、撤回します。申し訳ない」
ユウ
「……こちらこそ、ネクタイめちゃくちゃにして、すみませんでした」
お互いに謝った後、「ごほん」とクロウリーさんが咳払いをする。
クロウリー
「まず、この地図はデタラメではありません。どうやら貴女は別のものを世界地図と認識しているようだ。こちらの紙に書き起こして頂けます?」
ユウ
「そんな軽く言われても……世界地図なんて描けません」
クロウリー
「精密に描けとは言っているわけではありません。大まかな形で構いませんから」
私はクロウリーさんにペンを借りて、記憶から世界地図を引っ張りだしながら大体の形を書いていった。
ユウ
「一番大きいユーラシア大陸がここで……その左下にアフリカ大陸……反対側に北アメリカ大陸と南アメリカ大陸があって……真ん中より下のところにオーストラリア……あ、南極忘れてた……で、日本は、この辺です。この小さい島国」
クロウリーさんが、私作の世界地図を眺める。
クロウリー
「うーむ……やはりこれは、私にとって見たことのない地図ですね。貴女が今言った地名も、一つも聞いたことがありません」
ユウ
「そんな……でも、だったら私はどうやってここに……」
闇の鏡を通って来たのに、どうして闇の鏡で帰れないの?
クロウリー
「こうなってくると、貴女が何らかのトラブルで別の惑星……あるいは、異世界から招集された可能性が出てきましたね」
ユウ
「異世界!?」
そんな非現実的な!……今も充分、非現実的だけど!
宙に浮かぶ棺、火を吹く猫、不気味な顔が喋る鏡、魔法を使う生徒、魔法士を育てる学校……夢としか思えない、あり得ない出来事の数々……
『これまでの世界に別れを告げ、新しく生まれ変わる』
これが、夢じゃなくて現実なら……私は……