【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第7章 【真紅の暴君】後編
エースはユウの代わりにトレイを殴り返してやりたかったが、それはユウに止められていた。
デュース
「図書館で待ち伏せしていれば、マロンタルトのレシピ本を返しにくるだろうと……俺達に言ったのは、ユウです」
トレイ
「……そうか」
トレイは目を伏せ、昨日自身が殴ってしまったユウのことを思う。
エースは、そんなトレイの様子を認めながら、今日待ち伏せした本題に話を移した。
エース
「オレ達、やっぱ寮長のやり方に納得いかねーんだけど」
トレイ
「………だろうな」
エース
「アンタ実際、アイツのことどう思ってんの?小さい頃から、ずっとそうやってアイツにぺこぺこして来たわけ?」
トレイ
「!」
“小さい頃から”という言葉に、トレイは驚き顔を上げる。
トレイ
「誰から聞いた?」
デュース
「チェーニャという奴からです」
トレイ
「チェーニャ……そうか、あいつか」
トレイはチェーニャを知っているようだった。
グリム
「つーかよぉ、リドルよりオマエの方が年上なんだろ?ビシッと怒ってやればいいんだゾ」
トレイ
「もちろん、必要があればそうするさ。でも……俺には、あいつを叱ることなんか出来ない」
エース
「なんで!」
トレイ
「リドルの全ては、厳しいルールのもとで“造られた”ものだからだ」
デュース
「え……?」
予想していなかったトレイの言葉に、3人は思わず口を閉じる。
トレイ
「あいつの両親は、地元じゃ知らない人がいないほど有名な魔法医術士でね。特に母親は優秀な人で、リドルにも優秀であることを求めた。だからリドルは、起きてから寝るまで、学習プログラムが分刻みで決まってるような生活をしていたんだ」
グリム
「げ……分刻み?」
トレイ
「食べるもの、着るもの、消耗品から友達まで、全部決められてた」
トレイが話すリドルの幼少期、そのあまりの壮絶さに、グリムだけでなくエースとデュースも驚きを隠せずにいた。
トレイ
「それでもリドルは、両親の期待に応えるために黙って全部をこなし、10歳にしてあのユニーク魔法を完成させた。成績も、エレメンタリースクールからずっと学年首位を保持し続けてる。それがどんなに大変なことか、想像もつかない」
エース
「…………」