【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第6章 【真紅の暴君】中編
エース
「顔上げてみ」
ユウ
「!?」
今度はエースに両手で顔を挟み込まれ、私は強制的に上を向かされた。
だから近いって!!
エース
「目も腫れてんな……もしかして、泣いた?」
ユウ
「う……ん、ちょっとだけ。やっぱり痛くて」
めちゃくちゃ大泣きしたとは言えない。
心配してくれる2人に、私はもう一度「大丈夫」と伝えた。
グリム
「オマエら、遅いんだゾ。もうマロンタルトは残ってねぇからな」
エース
「お前、全部食ったのかよ!」
本当にお腹壊さなきゃ良いけど……
デュース
「ユウが暴れるのは変だと思ってたが、まさかマロンタルトを持ち逃げする作戦だったとはな」
ユウ
「ごめん……さっきは、とにかく逃げ出したくて……」
俯く私を見て、エースが盛大な舌打ちをする。
エース
「あの野郎……オレらが寮長に逆らったからって、何もユウを殴ることねぇだろ!」
ユウ
「僕のことは、もういいよ。それより……」
私は、3人の首元に付けられた首輪を見回した。
エースの首輪を外して貰うどころか、デュースとグリムにまで首輪を付けられる結果になっちゃったんだよね……
エース
「あーくそっ、腹立つ!!あの赤毛のチビ暴君!自分がハートの女王にでもなったつもりかよ」
デュース
「寮長に逆らって追い出されるなんて……どんどん優等生から遠ざかってる……」
首を横に振って嘆くデュースを見ると、申し訳ない気持ちになってくる。
ユウ
「大人しく、謝れば良かったかな……」
エース
「んなわけねぇだろ!!」
ユウ
「でも……そしたら、首輪外して貰えたかもしれないし……」
グリムが、自分の首輪に両前足で触れる。
グリム
「うぅ、首輪が苦しくて重たいんだゾ〜……」
???
「その首輪の重ねづけ、イカしとるにゃぁ〜」
「「「うわっ!!??」」」
突然、背後から知らない声が聞こえた。
振り向くとそこには……人の頭が、浮いている。
か、体がない!?!?!?