【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第6章 【真紅の暴君】中編
グリム
「オレ様が、暴君からマロンタルトを奪い返してやったんだ。食っちまえば、もう捨てられない。こっちのもんなんだゾ!」
そう言って、グリムはその場でマロンタルトを食べ始めた。
グリム
「うんまぁ〜〜い!!」
頬を膨らませたその笑顔を見て……
私は、後悔と悲しさでぐちゃぐちゃになってた心が、ほぐれていくのを感じた。
ゴシゴシと袖で涙を拭いて、口の中のマロンタルトを飲み込む。
ユウ
「……うん。美味しい!」
グリム
「早く食わないと、オレ様が全部食っちまうんだゾ〜!」
ユウ
「食べ過ぎてお腹壊さないでよ」
私の涙は止まっていて、足もちゃんと動くようになった。
グリムが元気付けてくれたお陰だ……
ユウ
「ありがとう、グリム」
グリム
「ふな?何がありがとうなんだゾ?」
グリムは、不思議そうにクリーム塗れの顔を傾ける。
ユウ
「ブフッ……グリム、その顔っ」
ツボにハマって笑いながら、私はハンカチでグリムの顔を拭いてやった。
そこへ、2つの足音が近づいてくる。
エース
「ユウ〜!グリム〜!」
デュース
「やっと追いついた」
振り向くと、こちらに向かって走ってくるエースとデュースの姿があった。
ユウ
「2人とも、追いかけてきてくれたんだ……」
グリム
「オイ!」
私が立ち上がると、グリムは裾を引っ張ってくる。
グリム
「オマエ、ちゃんと『ボク』って言うんだゾ!?」
ユウ
「!あ……」
私は、手で自分の口を押さえて、コクコクと頷く。
そういえば、泣いてる時は「私」に戻ってた気がする……危ない危ない。
ユウ
「ふーっ」
私は気持ちを切り替えるように、深く息を吐き出した。
エース
「ユウ!」
デュース
「大丈夫か!?」
駆け寄ってきたエースとデュースが、2人して私の肩を掴んだ。
ユウ
「だっ、大丈夫大丈夫!」
デュース
「顔……腫れてるな」
デュースの手が、私の殴られて腫れた頬を撫でる。
ギャー近い!