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【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!

第6章 【真紅の暴君】中編


【HEROINE side】


ユウ
「ハァッ、ハァ……」


息を切らしながら、グリムと共に走り続ける。


ユウ
「ハァ……う、わっ!?」


ズサッ


やがて足が縺れて、私は転んでしまった。


グリム
「ユウ!」


グリムが駆け寄って来てくれる。


ユウ
「…………」


一度止まってしまったら、後悔が心の中に渦を巻く。


私……なんてことを……


グリム
「ユウ……!?」


ズキズキと痛む頬に、次々と涙が伝うのを感じた。


ユウ
「グリム、グリム……」


ボロボロと涙を零しながら、私はグリムに手を伸ばす。


グリムは、両前足で掴んでくれた。


グリム
「何だ?どこか痛むんだゾ!?」


ユウ
「どうしよう、私っ……トレイ先輩を……」


殴られた瞬間の、トレイ先輩の顔と声を思い出す。


ユウ
「トレイ先輩、怒ってた……私が、怒らせた」


苦しそうな表情だった。


ユウ
「あんなに……優しい人なのに……!」


悲鳴のような声だった。


ユウ
「私……なんてことを……!!」


グリム
「オマエは何も悪くねぇんだゾ!」


ユウ
「グリム……私、どうしたらいい……!?」


グリム
「…………」


私は地面に手をついて、体を起こした。


けど、足に力が入らなくて、立ち上がれない。


ユウ
「…………」


その時、ピョンとグリムが私の膝の上に飛び乗った。


ユウ
「!グリ……むっ!?」


グリムが、私の口に押し込んできたのは、マロンタルトの一切れ。


甘い香りが鼻に通って、甘い味が口いっぱいに広がった。


グリム
「まずは泣き止め!美味いもん食えば、悲しいのなんてふき飛ぶんだゾ」


ユウ
「!」


グリム……


私の膝から降りて、グリムは地面に置いたマロンタルトの前に立つ。


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