【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第6章 【真紅の暴君】中編
ケイト
「ユウちゃん!?グリちゃ……あ、あれ?」
デュース
「あれ、グリムが抱えてるのって……」
エース
「マロンタルト!?」
3人は、そこでやっと理解する。
ユウは捨てられる前にマロンタルトを取り戻すため、わざと暴れて寮生の注目を集めた……
その隙にグリムは、破棄されそうになっていたマロンタルトを奪取……
2人は見事に、ハーツラビュル寮全員を出し抜いてしまったのだと。
◇◆◇◆◇◆
残されたエースとデュースは、トレイとケイトに寮外へと出されてしまった。
ケイト
「それじゃあエースちゃん達、まったね〜」
トレイ
「謝れば寮に戻れるように、寮長はなだめておくから」
エース
「くっそーー!!ぜっっってぇ謝らねえからなーー!!!」
デュース
「クローバー先輩」
閉じられた門越しに、デュースはトレイを呼び止める。
デュース
「先輩こそ、ユウに謝って下さい……でないと、俺はアンタを許さない」
その目は、確かな怒りを持って、トレイを見つめていた。
トレイは、目を逸らさず答える。
トレイ
「……ああ。必ず謝る」
トレイとケイトは、寮へと戻って行った。
エース
「謝って済むかよ……」
デュース
「…………」
エースとデュースは、ユウとグリムを探しに歩き出した。
◇◆◇◆◇◆
トレイとケイトがパーティ会場に戻った時には、リドルも一先ず落ち着きを取り戻していた。
リドル
「ふぅ……まったく」
ユウが暴れたあとを寮生達が片付けたのを確認して、周りを見回す。
リドル
「さあ、気を取り直して、パーティの続きだよ。今日はクロッケー大会もしなくちゃいけないんだから」
時計を見て、リドルは眉間にシワを寄せた。
リドル
「ああ、予定から15分も押してしまっている!最悪だ!」
トレイ
「はい、寮長……」
ケイトは、トレイに小声で問いかける。
ケイト
「……お前、これで本当にいいわけ?」
トレイ
「………」
トレイは、小さく首を横に振って……
トレイ
「俺には、どうすることもできないよ」
力なく、そう答えるのだった。