【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第6章 【真紅の暴君】中編
グリムは、他の寮生達をすり抜けてユウの傍に駆け寄った。
グリム
「ユウ!ユウ!しっかりするんだゾ!」
ユウは気を失ってはいなかったが、ショックのあまり起き上がれずにいる。
グリム
「待ってろ!今からオレ様が、あのメガネを丸焼きにしてやるんだゾ!!」
ユウ
「待って」
ギュッと、ユウの手がグリムの尻尾を掴んで、グリムが飛び出すのを止めた。
ユウ
「お願い……」
ユウは小声で、何ごとかをグリムを伝える。
グリム
「……わかったんだゾ。オレ様に任しとけ!」
グリムが頷くのを見て、ユウはゆっくりと体を起こした。
ユウに手を貸そうと、ハーツラビュルの寮生が何人か近づく。
ユウ
「僕に触るな!!」
ユウは腕を振って、彼らの手を拒否した。
ユウ
「うわああああ!」
それだけでなく、自分と共に地面に落ちていた、皿や銀器を掴んでは辺りに投げていく。
ハーツラビュル寮生
「おい、やめろ!」
ハーツラビュル寮生
「そいつを止めろ!押さえ込め!」
ユウは、寮生に囲まれてもなお暴れ続ける。
その様子を見て、エースとデュースを捕まえていたケイトは、困惑の表情を浮かべた。
ケイト
「え、何あれ!?ユウちゃん、めっちゃ暴れてるんだけど……」
ケイトの分身達に押さえられながら、エースが怒鳴り声を上げる。
エース
「くっそ、離せよ!!これ以上ユウに何する気だ!!」
ケイト
「何もするわけないじゃん!みんな、ユウちゃんを助け起こそうとしただけだって」
エース
「トレイ先輩に殴られたショックで混乱してんだろ!」
デュース
「ユウは、そう簡単に混乱するような奴じゃない……何か、様子がおかしいな」
誰もがユウに注目していた、その時……
グリム
「ユウ!!とったんだぞーー!!!」
グリムの大声が響き渡った。
「「「「「!!?」」」」」
皆が驚いている隙をつき、ユウは寮生達の手を振り解く。
そのまま走り出して、ユウは、グリムと共にパーティ会場から去って行った。