【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第6章 【真紅の暴君】中編
私の胸にある、怒りとは違う気持ち悪さは、何なのか……
『ボクだって、やりたくて首をはねてるわけじゃない』
リドル寮長の言葉を思い出す。
『お前たちがルールを破るからいけないんじゃないか』
ああ、そっか……
ユウ
「間違ってることを間違ってると言えないルールに、どんな価値があるっていうんですか」
私は足を踏ん張って、リドル寮長を振り返った。
リドル寮長の鋭い瞳と目が合う。
リドル
「何だって……ハートの女王の法律を、侮辱することは許さない」
ユウ
「法律なんてどうでもいい!貴方の優秀さも強さも、僕はまったく興味ない!」
トレイ
「ユウ!」
トレイ先輩の手が私の肩を掴み、後ろに引く。
私はそれに抗いながら、リドル寮長を睨んだ。
ユウ
「貴方と話してると気持ちが悪い」
私の言葉に、周りが騒然となるのがわかった。
ユウ
「間違ってると分かってるのに、ルールで決められたことにしか従えない。貴方の理性が何を訴えても、ハートの女王の法律が邪魔をする」
私は、周りに構わず真っ直ぐに、リドル寮長だけを見つめて話し続ける。
ユウ
「まるで、人形と話してる気分です」
自分の声が、酷く冷たいものに聞こえた。
トレイ
「ユウ……!」
ユウ
「貴方は、ハートの女王の法律にがんじがらめにされた、哀れな操り人形だ」
トレイ
「やめろ!!!」
トレイ先輩の、悲鳴に似た怒鳴り声が聞こえた。
その瞬間、私は……トレイ先輩の手に、殴り飛ばされていた。
【NARRATION】
ガッ!
トレイの手に殴られて、ユウの体が宙を舞う。
テーブルの1つに背中から突っ込んで、ユウの体は食器や花をなぎ倒しながら地面に落ちた。
「「「ユウ!!!!」」」
エース、デュース、グリムの3人が同時に叫ぶ。
ケイト
「ちょっ、トレイくんストップストップ!!それはさすがにヤバイって!」
ケイトはトレイの肩を押さえるが、トレイは抵抗することはない。
ただ呆然と、自身が殴ったユウの姿を見つめていた。
ハーツラビュルの寮生達が、今にも暴れんとするエースとデュースを数人がかりで押さえ込む。