【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第6章 【真紅の暴君】中編
エースが、紙袋から箱を取り出す。
エース
「えーっと、タルトを食べちゃったことを謝りたいと思って。新しくタルトを焼いてきたんですけど」
リドル
「ふぅん?一応聞くけど、何のタルトを?」
エース
「よくぞ聞いてくれました!旬の栗をたっぷり使った、マロンタルトです!」
エースは、意気揚々と箱の蓋を開けた。
リドル寮長、喜んでくれるかな……
リドル
「マロンタルトだって!?信じられない!」
ユウ
「えっ」
エース
「えぇっ?」
マロンタルトを目の当たりにして、リドル寮長の顔色が変わる。
喜んでる顔じゃなく、ずっと険しい表情に。
なんか嫌な予感……
リドル
「ハートの女王の法律・第562条『「なんでもない日」のティーパーティにマロンタルトを持ち込むべからず』」
ユウ
「!?」
リドル
「これは重大な法律(ルール)違反だ!何てことをしてくれたんだい!?完璧な『なんでもない日』が台無しじゃないか!」
デュース
「だ、第562条!?」
ユウ
「全部で何条まであるんですか!?」
マロンタルトが法律違反ってどゆこと!?
リドル
「全810条。ボクは、全て頭に入ってるよ。寮長なんだから当然だろう」
ユウ
「はっぴゃくじゅうじょう!?」
そんなにあるの!?日本の憲法だって103条しかないのに!!
想定外の展開に、私は唖然とするしかなかった。
ケイト
「あちゃー、こりゃヤバイ……トレイくん、知ってた?」
トレイ
「俺が暗記出来てたのは第350条までだ。完全に油断してた。タルトの種類にまでルールがあるなんて……」
ケイト先輩とトレイ先輩を振り向くと、2人も動揺してる様子が見える。
先輩達も知らなかったんだ……
リドル
「ハートの女王の厳格さを重んじるハーツラビュル寮長であるボクが、この違反に目を瞑ることはできない。マロンタルトはすぐに破棄しろ!」
ユウ
「なっ!?」
リドル
「こいつらを寮外へつまみ出せ!」
理不尽に怒るリドル寮長に、私は怒りで顔が熱くなるのを感じた。