【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第6章 【真紅の暴君】中編
そっか、私だけ呼ばれたのは、リドル寮長に挨拶する為だったんだ……パーティに参加させて貰うんだから、失礼のないようにしなくちゃ。
トレイ
「寮長、少しいいですか?」
トレイ先輩が声をかけると、リドル寮長がこちらを振り向いた。
私の存在に気付いて、リドル寮長は訝しげな顔をする。
リドル
「ユウ・クラシロ……?どうしてこの場に、キミがいるのかな」
ユウ
「えっと……」
トレイ
「ユウは、俺が招待しました」
トレイ先輩が、私の肩にポンと手を置いた。
トレイ
「うちの寮生が迷惑をかけたお詫びと、今回のパーティの準備を手伝って貰ったお礼を兼ねて」
リドル
「ふぅん……そういうことなら、今日のパーティ参加は特別に許可してあげよう」
ユウ
「あ、ありがとうございます」
リドル
「折角だから、楽しんで行くと良い」
それだけ言って、リドル寮長はさっさと元の位置に戻って行ってしまった。
ユウ
「あ……」
結局、挨拶らしい挨拶出来なかった……私の馬鹿!
私は若干俯きながら、ケイト先輩達の方に戻る。
ケイト
「お疲れ様。はい、ユウちゃんもこれ持ってね」
ユウ
「紅茶……?」
ケイト先輩から、紅茶の入ったティーカップを手渡された。
よく見ればグリム達も、それぞれティーカップを持ってる。
リドル
「クロッケー大会の前に、まずは乾杯を。ティーカップは行き渡ってるね?」
向こうでは、リドル寮長がティーカップを掲げていた。
リドル
「では、誰の誕生日でもない『なんでもない日』を祝して!乾杯!」
「「「「「「カンパーイ!」」」」」」
紅茶で乾杯なんて変わってるな〜……あ、でもこれはティーパーティだから、別に変じゃないのか……
ケイト
「エースちゃん、今がチャンスじゃない?」
エース
「よし………おいユウ、行くぞ」
ユウ
「あ、うん」
そうでした。一緒に行く約束でした。
私は、エースの後について再びリドル寮長の元に向かった。
エース
「あの〜、寮長」
リドル
「キミは……ああ、タルト泥棒の1年生か」
エース……もう名前じゃなくタルト泥棒って認識されてんのね。