【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第6章 【真紅の暴君】中編
クロウリー
《ああ勿論、グリムくんを監督することも忘れてはいけませんよ》
ギクッ
ユウ
「はい、勿論です」
初日から脱走されたとは言えない。
ユウ
「えっと、それで、何かご用があったんでしょうか?」
クロウリー
《ああ、そうでした。今朝お伝えし忘れたことがあったので、こうしてわざわざお電話差し上げたんでした》
学園長の言い方は、いちいち腹立つ……まぁ、もう慣れかけてるけど。
ユウ
「伝え忘れたことって何ですか?」
クロウリー
《ごほん。……貴女には男性として生活していただくと言いましたが、生活する上ではどうにもいかないこともあるでしょう》
学園長の声が少し小さくなった。
直接的な言葉はないけど、学園長が何を言いたいのかは分かる。
ユウ
「あー……まぁ、そうですね」
まだ先の予定だけど、そのうち生理もあるし……下着も、出来れば何枚か揃えたい。
クロウリー
《そこで、貴女のために心強い味方をご用意しました。私、優しいので》
ユウ
「心強い味方?」
って、誰のことだろう?
クロウリー
《明日、いつでも構いませんので、空いた時間に学園の医務室に行ってください》
ユウ
「医務室……ですか」
クロウリー
《養護教諭のフェイン先生から、詳しく話を聞くといいでしょう》
つまり、そのフェイン先生という人が、学園長の言う心強い味方ってこと?
ユウ
「……わかりました。行ってみます」
クロウリー
《よろしい。では、私はこれで失礼しますよ。おやすみなさい》
ユウ
「はい。ありがとうございました。おやすみなさい」
学園長から通話が切られ、私は受話器を置いた。
学園長、私が女だってことちゃんと考えてくれてたんだな〜……忘れ去られてるかと思ってた。
ユウ
「養護教諭のフェイン先生……」
どんな人だろう?優しい人だと良いなぁ……
なんて考えながら、私は自分の部屋へと踵を返す。
部屋に入った瞬間、グリムから「遅いんだゾ!!」と怒鳴られた。
1人が怖いなら怖いって言え!!