【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第6章 【真紅の暴君】中編
トレイ
「効力は短時間しか持たないから、落書きみたいなものだ。だから俺は、この魔法をドゥードゥル、落書きって呼んでる」
グリム
「トレイの『ドゥードゥル・スート』の魔法があれば、ツナ缶食べ放題も夢じゃねぇってことかぁ。意地悪なリドルの魔法なんかより、全然スゴイんだゾ!」
グリムの言葉に、トレイ先輩は首を横に振る。
トレイ
「いや……俺の魔法なんか、寮長の魔法に比べれば子どものオモチャみたいなものだ。レベルが違うよ」
ユウ
「…………」
そうなのかな……?
魔法には詳しくない私でも、『要素を上書き』なんてどれだけ凄いことか想像できるのに……
そりゃ、リドル寮長は魔法そのものを封じてしまうんだから、どっちが上か比べるのは難しいのかもしれないけど……
トレイ
「…………さ!今日はもう遅い。タルトを寮長に渡すのはまたにして、寮に戻ろう」
トレイ先輩は笑って話を終わらせたけど、私は何でか少しモヤモヤとした気分になった。
エース
「ユウ、また泊めてくんない?」
ユウ
「えっ」
エース
「オレ、意地悪な先輩に寮に入れてもらえないみたいだし!」
ケイト
「あらー。刺のある言い方〜」
そういえば、ハートの女王の法律でエースは今ハーツラビュル寮に入れないんだった。
ユウ
「でも今日も泊めるのはちょっとなぁ……」
エース
「えー!何でダメなんだよ」
デュース
「こらエース。あまりユウに甘えるのはよせ」
グリム
「そうだゾ!今日も泊まるなら宿賃払え!ツナ缶10缶!」
エース
「じゃあ野宿しろってのかよ〜」
じーっと、エースから責めるような目で見つめられる。
私は、腹立つその顔にビシッと指をさした。
ユウ
「だってエース、人のベッドに潜り込んでくるじゃん」
ケイト
「ええー!!エースちゃんったら大胆!」
デュース
「何やってるんだ、お前は……」
ケイト先輩にからかわれ、デュースからは軽蔑の目で見られ、エースが顔を顰める。