【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第6章 【真紅の暴君】中編
トレイ
「よし、最後に粉砂糖をふりかけてっと……」
「「「完成〜!!」」」
デュース
「かんせーい……」
達成感を持って大喜びするグリムとエースと私の横で、デュースだけはまだ落ち込んでる様子。
エース
「コイツ、買い出しでなんかあったの?」
ユウ
「そっとしておいてあげて」
デュース
「オレが16年間信じてきたものは一体……」
私が思ったよりも、デュースのヒヨコショックは深かったみたい。
エース
「それにしても、お菓子作りって時間かかるんだなー。メチャクチャ疲れたぁ……」
私は、ポンとエースの肩に手を置いた。
ユウ
「『時間と労力をかけて作られたタルトを、オレは盗み食いしてしまったんだな……ちゃんと反省しよう』──って思うんだよ」
エース
「今んな話しなくてもいいだろ!」
禊(タルト作り)が終わった今だからこそでしょ!
……まぁ、エースもちゃんと頑張ったし、これ以上は言わないでおく。
ケイト
「おつおつ♪おっ、タルト完成した?」
ユウ
「あ、ケイト先輩」
厨房にひょっこりと顔を出したのは、昼休憩ぶりのケイト先輩。
ケイト
「デコレーションかわいーね!マジカメ映え〜ってカンジ♪1枚撮らせて」
ケイト先輩は、また返事も聞かずに、スマホのシャッターを切った。
エース
「あーっ!アンタ、今更何しにきたんだよ」
エースはまだケイト先輩が気に入らないのか、あからさまな不機嫌顔。
ケイト
「可愛い後輩たちが頑張ってるかな〜って、様子見にきたんじゃん。……ん?あはは、めっちゃ疲れた顔してるし!」
ケイト先輩、今朝は忙しそうだったのに……パーティの準備とかはもう良いのかな?
トレイ
「慣れないことすると疲れるよな」
そう言って、トレイ先輩はマロンタルトのホール1つを8等分に切り分け、テーブルに一切れずつ並べてくれた。
トレイ
「というわけで、疲れた時には甘い物だ。出来立てマロンタルトを召し上がれ」
「「「やったー!」」」
喜ぶグリムとエースの横で、ちゃっかりケイト先輩も着席する。