【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第6章 【真紅の暴君】中編
デュース
「ウチは、男手が僕だけだったから、そういう力仕事は僕が全部……っと、悪い。僕ばかり喋ってた」
ユウ
「ううん。聞いたの僕の方だし……」
この世界に来て、こういう風に“普通の会話”をしたの初めてな気がする。
魔法も鏡も関係ない、友達との何気ない会話。
ユウ
「お母さんの手伝いして偉いね」
デュース
「……いや、全然そんなことはない」
ユウ
「?」
私がデュースの方を見ると、デュースは少し暗い表情をしていた。
デュース
「俺は、母さんを……」
ドンッ
ユウ
「わっ!?」
いきなり、通りの角から飛び出してきた誰かと、私は衝突してしまった。
勢いに負けて、その場に尻餅をついてしまい……
ベチャッ
グリム
「あ゙〜!卵が!」
袋を地面に落としてしまった。
デュース
「大丈夫か!?」
ユウ
「僕は平気……でも、卵が……」
デュースが延べてくれた手を掴んで、私は立ち上がる。
デュース
「くそ、6個パックがひとつ全滅だ!ビニール袋ん中が卵だらけに……!」
デュースが、私とぶつかった相手の方を睨む。
不良A
「ッテェな!どこに目ぇつけて……」
私は、「ゲッ」と出しかかった言葉をなんとか飲み込んだ。
私がぶつかった相手は、食堂で絡んできたあのガラの悪い先輩達だった。
不良A
「って……お前ら、昼に学食で俺のカルボナーラの卵割った奴らじゃねえか」
不良B
「おいおい、またお前らかよ。いい加減にしろよな〜!」
それこっちのセリフ!!
植物園でレオナさんにビビりまくったお陰か、今はガラの悪い先輩達をあまり怖いと思わない。
けど、また揉め事起こすわけにはいかないし……とりあえず、謝っておこう。
ユウ
「あの、すみませ……」
デュース
「角から飛び出してきたのは、先輩達じゃないですか」
ユウ
「!」
謝ろうとした私を、デュースが遮った。