【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第6章 【真紅の暴君】中編
トレイ
「……プッ、アッハッハ!」
……え?笑われた?
ユウ
「な……何で笑うんですか」
トレイ
「嘘だよ。お菓子にオイスターソースなんか入れるわけないだろ」
ユウ
「なっ!?」
エース
「なんだよ!本気にしちゃったじゃん!」
や、やられた……!!
トレイ
「ははっ!ちょっと考えれば、あり得ないってわかるだろ。何でも鵜呑みにせず疑ってかかれ、ってことだな。教訓、教訓♪」
素敵な笑顔で言うトレイ先輩……イケメンなのに、今はちょっともトキメかない。
グリム
「コイツ、優しそうに見えてさらっと嘘をつくヤツなんだゾ……」
私はボウルを持って元の位置に戻り、トレイ先輩をジト目で見つめた。
ユウ
「酷いです。漆黒のマロンタルトを想像して本当に怖かったのに……」
トレイ
「はは、悪い悪い」
ユウ
「これからは教訓に従って、二度とトレイ先輩を信じないことにします」
トレイ
「そう怒るなって」
少し困ったような顔をして、トレイ先輩が私に手を伸ばす。
ユウ
「わわっ!」
わしゃわしゃと、トレイ先輩に頭を撫でられた。
トレイ
「ほーら、機嫌直せ。な?」
ユウ
「あーもう!わかりましたごめんなさい!さっき言ったのは冗談ですから、やめて下さい〜!」
髪がぐちゃぐちゃになる〜!
トレイ先輩の手が離れると、私はすぐにボウルを置いてトレイ先輩から離れた。
手櫛で髪を直す私のところへ、グリムが寄ってくる。
グリム
「オマエ、完全にあのメガネに遊ばれてたんだゾ」
ユウ
「うるさいな。わかってるよ」
ムスッとしてたら、またトレイ先輩に笑われた。
くそぅ、なんか悔しい……!
トレイ先輩が、ボウルを前に生クリームのパックを取り出す。
トレイ
「次に生クリームを……あっ!」
ハッとしたように、トレイ先輩は自身の額に手を当てた。
エース
「どーしたんすか?」
トレイ
「お前達がたくさん栗を取ってきてくれたから、調子に乗ってマロンペーストを作りすぎた。混ぜる生クリームが少し足りないな」
デュース
「僕、買ってきますよ。学内の購買部で売ってますか?」