【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第6章 【真紅の暴君】中編
グリム
「にゃっはー!タルト楽しみなんだゾ〜」
私達は籠を抱えて、栗の木と植物園を後にした。
……当分、ここには近づきたくない。
◇◆◇◆◇◆
トレイ先輩との待ち合わせ場所は、学園の大食堂。
トレイ
「お帰り。ずいぶんとたくさん拾えたな」
トレイ先輩は、既に厨房で器具を用意して待っていてくれた。
グリム
「これなら、でっけータルトが作れるんだゾ!」
トレイ
「まあその分、これだけの量を剥くのは大変だと思うが……頑張れよ」
デュース
「これ、全部か……気が遠くなるな」
ユウ
「調子乗って拾い過ぎちゃったね」
いが剥きと皮剥きかー……それも300個となると、かなり時間かかりそう。
トレイ
「お菓子作りは、下ごしらえが大切なんだ」
エース
「へーへー、わかりました!こーなったら、とことんやってやろーじゃん!」
吹っ切れたように言いながら、エースは籠から作業台の上に栗をバサッと出した。
トレイ
「栗の皮を綺麗に剥くのは、かなりのコツがいる。魔法で効率良くやってしまおう」
デュース
「エースとユウは、魔法が使えないから、地道に手で剥くしかないな」
エース
「お前が魔法でやるより早いっつーの!」
魔法で皮剥きまで出来ちゃうんだ。便利でイイなー。
グリム
「おまへら(モグモグ)指ふぉくわへてみてりゃひひんはよ!」
栗食べてる!
エース
「つまみ食いしてんじゃねぇよ!」
ユウ
「生の栗を皮ごとって……」
モンスターって本当に雑食だな!
私達は、それぞれ栗の皮剥きを始めた。
ムキムキ
栗の皮剥きなんて久しぶりにやるな〜……最近は、熱を通してから割って、スプーンでほじくってばっかだったし……
エース
「見ろよユウ。めちゃくちゃ綺麗に剥けた!」
エースが、得意げに私に栗の実を見せてくる。
ユウ
「あ、ホントだ。凄いね」
エースは栗の皮剥きは初めてだったらしく、最初は辿々しかったけど……トレイ先輩に教えて貰って、直ぐに覚えてしまった。
トレイ
「驚いた。エースは器用なんだな」
エース
「へへ、まーね。そこの真面目クンと猫とは違うんで」