【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第6章 【真紅の暴君】中編
ユウ
「あの、尻尾を怪我されたりとかは……」
顔を上げると、男性と目が合う。
180は優に超えた身長から見下ろされると、かなりの威圧感があった。
???
「お前……あァ、入学式で鏡に魔法が使えねぇって言われてた草食動物か」
ユウ
「は、はい……」
男性が睨むのをやめて、その表情が少し柔らかくなる……怒る顔から、こちらを見下すような表情に。
???
「ふぅん……」
ユウ
「!?」
いきなり、男性が私にグッと顔を近づけてきた。
???
「スンスン……」
ユウ
「ヒッ!」
匂い嗅がれてる!!
???
「……はっ。本当にちっとも魔力の匂いがしねぇ」
顔を離した男性は、再びこちらを馬鹿にしたような表情を浮かべる。
???
「無抵抗の相手を痛めつけるのは、気がすすまないんだけどなァ」
ユウ
「!」
また、男性の目が鋭くなった。
グリム
「うっ、なんだかわからねぇけど、コイツに睨まれると背中の毛がゾワゾワするんだゾ!」
本能的な恐怖を感じたのか、グリムは私の後ろに隠れ、足にしがみ付いてきた。
かくいう私も、この人に睨まれて動けないでいる。
???→レオナ
「このレオナ様の尻尾を踏んでおいて何にもナシって、そりゃねぇだろ?」
この人はレオナさんというらしい。
レオナさんが、私に一歩近づく。
レオナ
「気持ちよく寝てたところを起こされて機嫌が悪いんだ。歯の1本も置いてけよ」
ユウ
「えええええ!」
歯を置いてけって何!?よく分かんないけど、怖いこの人!!
グリム
「ユウ、早くずらかるんだゾ!」
逃げれたら逃げてるよ!怖くて動けないの!
レオナさんの手が私に向けられる。
ユウ
「っ!」
私はギュッと目を閉じた。
今度こそ殴られるーーーー!!!!
???
「──レオナさーん!」
レオナ
「………あ?」
ユウ
「……?」
また別の人の声が聞こえて、私は恐る恐る目を開けた。
ど、どうなったの……?