【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第6章 【真紅の暴君】中編
私はグリムと、中央の通路をまっすぐ歩いてく。
グリム
「なあなあ、コッチ来てみろよ。なんかフルーツがたくさんなってる!良い匂いなんだゾ〜!」
ユウ
「取っちゃダメだよ」
でも、本当に色んな植物があるな〜!壁や天井はガラス製だから日当たりも良いし、どの花も元気に咲いててとっても綺麗!
私も何か育ててみよっかな……オンボロ寮の庭寂れてるけど、結構広いし……
グニ
???
「──いって!」
ユウ
「うわっ!?今何か踏んだ!?」
地面とは違う柔らかい感触に驚いて、私はすぐさま飛びのいた。
足元を見てみるけど、踏んだようなものは特に見当たらない。
ユウ
「あれ?……気のせい?」
グリム
「ユウ?何やってんだゾ」
ユウ
「……ううん。何でもない」
気を取り直して先に進もうと、私は再度歩き出した。
ガサッ
その時、通路の左から、植物が揺れる音が聞こえた。
ユウ
「!」
誰かいる……?
植物を掻き分けて現れたのは、一人の男性。
濃茶色のセミロングヘア、緑の瞳、背はエースやデュースより高くて、肌も焼けてる……野性味を感じさせる容姿の、これまた顔面偏差値バリ高な人だった。
???
「──おい。人の尻尾踏んでおいて素通りとは、いい度胸だな」
低い声でそう言って、男性は鋭く私を睨んでくる。
ユウ
「し、しっぽ??」
……あ!よく見たらこの人、頭から動物の耳が生えてる!
食堂で見た人は犬耳だったけど、この人のは何だろ……見た感じは猫科っぽい。
そっか、さっき私が踏んだのは、この人の尻尾だったんだ……どうりで柔らかい感触だと思った。
グリム
「アンタ、ここの管理人さん?それにしては、ガラが悪いような……」
???
「こちとら気分よく昼寝してたとこだってのに、思いっきり尻尾踏みやがって。最悪だ」
ユウ
「あっ、す、すみませんでした!」
私は、男性に向かって深く頭を下げた。
植物園で昼寝するなとか、通路に尻尾を出しておくなとか、色々言いたいこともあるけど……足元よく見てなかった私も悪いし……