【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第5章 【真紅の暴君】前編
ケイト
「あと、リドルくんは特にホールケーキの最初の1ピースを食べるのを楽しみにしてるから、きっとホールじゃないと許してくれないよ」
エース
「仲良くしようとか言っといて、そこは見逃してくんねーのかよ!」
私達を追い出した時みたいに、ケイト先輩はニッと笑う。
ケイト
「それはそれ、これはこれ」
厳しい。
デュース
「しかし、タルトをホールでって大分高くないか?」
エース
「げー。オレ、そんな金持ってないんですけど」
ケイト
「じゃあ作っちゃえば?あのタルトも、全部トレイくんが作ったやつだし」
ユウ
「確かに、作った方が買うより安く済みますね」
材料とか道具とか揃えるのが少し大変だけど……
エース
「あのタルト、トレイ先輩が作ったの?すげー!売り物みたいでしたよ」
トレイ
「はは、ありがとうな」
ユウ
「お菓子作りお好きなんですか?」
失礼かもだけど、意外な特技だなと思った。
トレイ
「ああ、まあ……確かに器具や調味料なんかは一通り揃えてあるが……」
トレイ先輩は腕を組んで、エースの方を見る。
トレイ
「タダで提供するわけにはいかないな」
エース
「えぇ〜!?金取るのかよ!」
トレイ
「はは、後輩から金を巻き上げるわけないだろ。次にリドルが食べたがってたタルトを作るのに、栗がたくさん要るんだ。集めてきてくれないか?」
トレイ先輩優しい!
エース
「どっちにせよめんどっ」
ユウ
「どの口が言ってんの!せっかくトレイ先輩が親切で言ってくれてるのに!」
私が指差して怒鳴ると、エースは「うっ」と言葉を詰まらせた。
エース
「……で、どれくらい栗が必要なんすか?」
トレイ
「『なんでもない日』のパーティで出すとすると……2、300個くらいかな」
エース/デュース
「そんなに!?」
トレイ
「栗に熱を通して、皮を剥いて、裏ごしするところまで手伝ってもらおうか」
グリム
「オレ様、帰っていいか?」
デュース
「僕も」
エース
「薄情者!」
エースが、バッと私の方を見る。
お前は手伝ってくれるだろ!?って目で訴えてくる。
もちろん!って答えてあげたいところだけど……