【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第5章 【真紅の暴君】前編
エース
「でぇっ!寮長!」
エースの背後に現れたのは、赤い髪の上級生……ハーツラビュルの寮長さんだった。
目を惹く鮮やかな赤髪、灰色の瞳、身長は私より少し高いくらいかな……表情は厳しそうなのに、顔立ちはリリア先輩同様幼い感じで、それに髪にアホ毛があって……なんというか、まず可愛いって思っちゃう。
入学式の時も思ったけど、本当に綺麗な顔してるよね……
ケイト
「おっと、リドルくん。今日も激ヤバなくらいかわい〜ね♪」
ケイト先輩はエースの激ヤバ発言を誤魔化そうとしてくれたけど、リドル寮長は厳しい表情を崩さない。
リドル
「ふん。ケイト、あまりおしゃべりが過ぎると、そのよく回る口ごと首をはねてしまうよ」
ケイト
「いやいや、勘弁してよ〜!」
首をって……コワッ!
グリム
「ふな゙っ!?」
私の隣から、グリムの驚いたような声があがる。
グリム
「コイツ、入学式でオレ様に変な首輪つけたヤツだゾ!」
ユウ
「ちょっ、グリム!?」
私は、手でグリムの口を塞いだ。
グリム
「ふがふが!」
寮長さんをこいつ呼ばわりとは何事か!
リドル
「キミ達は、昨日退学騒ぎになった新入生か。人のユニーク魔法を『変な首輪』呼ばわりするのは、やめてくれないかな」
ユウ
「うちのグリムがすみません……入学式の時も、ご迷惑をおかけしました」
私はまた席から立って、リドル寮長にリリア先輩の時より深く頭を下げた。
ユウ
「オンボロ寮の監督生になりました。ユウ……」
リドル
「ユウ・クラシロ。キミとそこのモンスターについては、学園長から話を受けている」
ユウ
「!」
挨拶は不要とばかりに遮られ、私は思わず口を閉じる。
リドル
「……まったく、学園長も甘い。規律違反を見逃していてはいずれ全体が緩んで崩れる。ルールに逆らったやつは、みんなひと思いに首をはねてしまえばいいのに」
エース
「顔に似合わず、言うことこっわ……」
私は顔を上げて、リドル寮長を窺い見る。
リドル寮長は、入学式の時と同じ、厳しく冷たい目をしていた。