【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第5章 【真紅の暴君】前編
……そういえば入学式の時、話しかけ辛いからって理由で、式に呼ばれなかった寮長さんがいたんだっけ……
その話しかけ辛いオーラって、どれほどのものなんだろ……
ディアソムニア寮の寮長さんに、私は少し興味を抱いた。
エース
「あれ?子どもが混じってる」
エースの言葉を聞いてよく見てみると、確かにディアソムニア寮の人達の中に1人だけ、周りより小さく見える人が居た。
黒髪にショッキングピンクのメッシュという派手な髪型に、幼い顔立ち……身長は私と同じくらいかな?
トレイ
「うちの学校は、飛び級入学がアリだからな」
ユウ
「え、そうなんですか?」
トレイ
「ああ」
あ、そっか……入学資格は、闇の鏡に選ばれることだから……年齢は大して重要じゃないってことか。
トレイ
「でも、彼は子どもじゃないぞ。俺たちと同じ3年生の……」
リリア
「リリアじゃ。リリア・ヴァンルージュ」
「「「「「「!!??」」」」」」
突然、頭上から誰かの声がした。
私が上を見ると、クリッとした赤い瞳と目が合う。
シャンデリアから逆さにぶら下がってたその人は、愉快そうに微笑みながら私達の近くに降り立った。
グリム
「コ、コイツ、瞬間移動したんだゾ!」
ユウ
「ビッッックリしたぁ……!」
突然現れるだけならまだしも、まさか天井から来るなんて!
リリア
「お主ら、わしの年齢が気になるとな?こんなピチピチで愛らしい美少年のわしだが、確かにそこの眼鏡が言うように、子どもとは呼べない歳かもしれんな」
トレイ
「ピチピチ……」
自分で美少年って言ったよ、この人……本当に美少年だから何も言えないけども!
あ、そういえばこの声……確か入学式で、寮長の代わりにディアソムニア寮の新入生を連れてた人だ。
古風な口調と、見た目に合わない低い声を覚えてる。
リリア
「遠くから見るだけでなく、気軽に話しかけにくればよかろう。同じ学園に通う学友ではないか」
リリア先輩は、私達に向かってニコッと笑う。
リリア
「我がディアソムニア寮は、いつでもお前たちを歓迎するぞ」
ユウ
「あ……ありがとうございます」
話しかけ辛いって聞いてたから、どんな怖い人達かと思ってたけど……なんだ、普通に友好的で安心した。