【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第5章 【真紅の暴君】前編
ケイト
「んで、次はイグニハイド寮だけど……青と黒の腕章のヤツ、この辺には座ってないな」
ケイト先輩の言葉を聞いて、私も周囲を見回してみたけど……青と黒の腕章をつけた生徒は見当たらない。
ケイト
「あそこの寮、なんかみんなガード堅くて、オレも友達いないんだよね。陽キャラ揃いのハーツラビュルとは正反対ってゆーか?」
グリム
「根暗が多いってことか?」
トレイ
「こらこら!言い方!」
ユウ
「グリム、根暗じゃなくて内向的って言うんだよ」
もしくはインドア派。
グリム
「根暗なヤツを根暗って言って何が悪いんだゾ」
ユウ
「オブラートに包みなさいって話!」
私とグリムのやり取りを見て、トレイ先輩が苦笑する。
トレイ
「確かに、大人しい奴が多いイメージはあるけど……魔法エネルギー工学とか、デジタル系に強い奴が多い寮かな」
イグニハイド寮は、デジタル系に強い……と。
あと、ハーツラビュルは伝統を重んじる陽キャ集団と覚えておく。
デュース
「あとは……ディアホニャララ寮ですっけ」
ユウ
「え?なんて?」
エース
「キリッとした顔で語尾を誤魔化してんなよ。“ディアソムニア寮”ね」
デュース
「か、噛んだだけだ!噛んだだけ!」
覚えてないならわざわざ口に出さなくても良いのに……
ユウ
「ディアホニャララ……ブフッ」
デュース
「笑うな!」
ユウ
「ごめんごめん」
だってデュースったら、真面目な顔で言うんだもん……午後の授業中とかで思い出して笑っちゃいそう。
ユウ
「そのディアソムニア寮は、どんな寮なんですか?」
ケイト
「ディアソムニア寮は……いたいた。あの食堂の奥の特等席に固まってるメンツ。黄緑と黒の腕章が目印」
私は、ケイト先輩の視線の先を見た。
一番奥にあるテーブルに、黄緑と黒の腕章を身につけた数人の生徒が座っている。
別に占領してる感じでもないのに、何故か空いた席には他の寮の人達は座ろうとしない。
ケイト
「あそこはなんつーか、超セレブっていうの?オレ達庶民が話しかけ辛いオーラ放ちまくりなんだよね。寮長からして、近寄りがたさMAXっていうか……」