【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第5章 【真紅の暴君】前編
グリム
「じゃあ、あっちの灰色と薄紫の紐を腕に巻いてるのは?」
トレイ
「彼は、オクタヴィネル寮だな」
気を取り直して、私は再びトレイ先輩の話に耳を傾けた。
トレイ
「その手前のテーブルに座っている臙脂と黄色の腕章は、スカラビア寮の生徒だ」
どの寮に所属してるかは、腕章を見るとわかるみたい……どの寮がどの色かも、覚えてかなくちゃ。
ケイト
「どっちも頭脳派揃いって言われてる。筆記テストは、そこ2寮がデッドヒートってカンジだよね」
ユウ
「へぇー、進学クラスみたいですね」
ケイト
「そうそう。あ、でもスカラビアの寮長は、勉強はそこまでって感じで〜」
エース
「はーい。これ話が脱線するフラグ」
トレイ
「お前、順応早いなぁ」
面倒くさそうに言ったエースに、トレイ先輩が笑う。
エース、せめて敬語使おうよ……
トレイ
「話を戻すと、あっちのやたらキラキラしいのは、ポムフィオーレ寮。紫と赤の腕章をしてる」
ユウ
「キラキラしい……あ、居た」
紫と赤の腕章を見つけて、私はその人達を見る。
制服の着方が少し変わってたり、アクセサリーを付けてたり、薄くメイクをしてたり、確かに他の寮の人達とは雰囲気が違った。
ただ派手ってわけでもなくて、お上品って感じがする。
グリム
「ホワッ!超可愛い女の子がいるんだゾ!」
女の子ぉ!?
ユウ
「どこ!?」
グリムの言葉を聞いて、私はすぐにグリムの目線の先を追った。
ユウ
「わ、本当だ。可愛い!」
薄紫のミディアムヘア、小柄で、肌が白くて、瞳が大きい……儚げな雰囲気もあって、まさに薄幸の美少女って感じ。
デュース
「エッ!?男子校なのに!?」
エース
「アホ。男子校に正式入学した奴に女がいるわけないでしょーが」
デュース/グリム
「え゙〜っ!?」
ユウ
「あれで女の子じゃないの!?」
ナイトレイブンカレッジは男子校だから、普通に考えたら女の子がいるはずないって、わかってるんだけど……
それでも、本当に女子生徒も居るのかと勘違いするくらい、あの子は美少女に見えた。