【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第5章 【真紅の暴君】前編
バルガス
「優秀な魔法士は、健全な筋肉から!見ろ、毎日生卵を飲んで鍛えたこの筋肉!魔法士たるもの、体力がないとな」
そう言ってポーズを決める、先生の赤いジャージはパツパツに張って、よりバルガス先生の筋肉を強調した。
先生は誇らしげだけど、見ててあまり気持ちのいいものじゃいな〜……マッチョあんま好きじゃないし……
バルガス
「そんなわけで、まずはグラウンド20周。次に腕立て伏せ100回!」
キッツ!
エース
「うぇ……運動は嫌いじゃねーけど、先生が超苦手なタイプ」
デュース
「体力には自信がある。……ユウは、大丈夫か?」
ユウ
「うん。まぁ、運動はそこそこできるし……何より魔法使わなくて出来る内容なら、僕は特に頑張らないと」
早速、私達はグラウンドの外周をはしり始める。
グリム
「ぐるぐる走って何が楽しいんだあ〜!?オレ様は、ハムスターじゃねえんだゾ!」
単純な運動も、グリムはお気に召さないみたいだった。
◇◆◇◆◇◆
休み時間
再び制服に着替えて、私達は次の教室へ向かう。
デュース
「えーと、次の授業は……」
エース
「なーんか、魔法学校っつっても普通の学校とあんまり変わらないっていうか、想像よりも地味っつーか……魔法使えなくても、別にそこまで困んねーな」
ユウ
「うん。まだ序盤だから何とも言えないけど、今のところは僕でもなんとかやっていけそう」
エースも、首輪付けられたままでも、普通に勉強出来てるし。
エース
「グリムもそう思わね?……ん?」
ユウ
「あれ?グリム?」
いつの間にか、グリムの姿が消えていた。
い、嫌な予感……!
デュース
「あっ、窓の外を見てみろ!あの中庭を横切る毛玉は……」
デュースの言葉を聞いて、私は窓に額をつける勢いで外の様子を見る。
グリム
「あんなつまんねえ授業、一日中やってらんねえんだゾ!」
中庭を通って反対の校舎に向かって行く、グリムの背中が見えた。