【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第5章 【真紅の暴君】前編
◇◆◇◆◇◆
1限目の魔法薬学は、教室ではなく実験室で行われるらしい。
私達は、なんとか始業前に実験室にたどり着くことができた。
ユウ
「遅刻せずに済んで良かった……!」
グリム
「オレ様の輝かしいスクールライフ1日目は守られたんだゾ」
実験室の席は、一つの大きめな机に4人ずつ着くようになってて、ギリギリで入った私達はもれなく、唯一空いてた教卓真前の机に仲良く座ることになった。
エース
「先生の目の前の席しか空いてないの超ヤなんだけど」
デュース
「今日は仕方ないだろう。この席が嫌なら、次からは時間に余裕を持って移動することだ」
私はこの席でも気にならないけど……やっぱり男子は、先生に見られるの嫌なものなのかな。
なんて考えてるうちに、始業のベルが鳴った。
まもなく、実験室に教師らしき男性が現れる。
先生……だよね?
白と黒の毛皮コートを着こなし、髪も白と黒に分けて染めてる派手な格好……線がはっきりとした端正な顔立ちの、若そうな人だった。
先生は生徒を見回して、その切れ長の目を私とグリムに留める。
???
「……お前達が、今日から俺の担任クラスに入った新顔か」
ユウ
「!は、はい」
先生から声をかけられて、私は席から立ち上がった。
ユウ
「ユウ・クラシロです」
グリム
「いつか偉大なる魔法士になる大天才・グリムなんだゾ」
グリムー!こんな時までそんな大口自己紹介しなくても!
ユウ
「よ、よろしくお願いします……」
私が先生に向かって一礼すると、後ろの方からいくつかのヒソヒソ声が聞こえてきた。
「あれが、噂の……?」
「魔法が使えない奴だ……」
「何でモンスターが居るんだよ」
うう、居心地悪い……
???
「ふぅん、珍しい毛色をしているな。悪くない。日頃から手入れを欠かさないように」
え?毛色?
???→クルーウェル
「俺の名前は、デイヴィス・クルーウェル。気軽にクルーウェル様と呼んでいいぞ」
様って……