【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第5章 【真紅の暴君】前編
エースは、魔法使えない私を気遣ってくれたんだろうけど……こんな状況で何もしないわけにはいかない。
ユウ
「デュース!左からきてるよ!」
デュース
「了解だ!」
ユウ
「グリム!上、上!」
グリム
「ふな゙ぁあ!」
ゴースト退治の時を思い出して、私はケイト先輩の動きをよく見て、3人に伝えていった。
ユウ
「エース!魔法だけ右から飛んできてる!」
3年生だからなのか……ケイト先輩は昨日のゴーストより強くて、攻撃手数が多い気がする。
ユウ
「次は……左右から来るよ!」
相手はケイト先輩1人だけなのに、目まぐるしく色んな方向から攻撃が繰り出される。
ユウ
「フェイントっぽい!死角になるとこ警戒して!」
それに……なんだろう、違和感があった。
デュースやグリムの攻撃だって当たってるのに、ケイト先輩はその度近くの薔薇の木の影に隠れて、次の瞬間には違う方向から迫ってくる。
いくらなんでも速過ぎない!?魔法で瞬間移動とかしてるのかな……
ユウ
「次は……」
ケイト
「へぇ〜、ユウちゃんって目が良いんだね」
ユウ
「!?」
突然、間近にケイト先輩の声が聞こえた。
私の後ろ……!?
ケイト
「オレの攻撃を全部読んじゃうなんて、すごいすごい♪」
私はすぐに振り返ったけど、そこにケイト先輩の姿はなくて……
グリム
「ふなぁーーっ!!」
エース
「うわっ!?」
デュース
「ぐぁっ!」
ユウ
「あ……!」
視線を戻した時には既に、グリム達はケイト先輩に倒されてしまっていた。
ケイト
「はい、いっちょ上がり!」
私がグリム達に駆け寄ると、ケイト先輩はニコニコした表情のまま、私を見下ろしてくる。
ケイト
「ユウちゃんは、大人しく従ってくれるよね?」
ユウ
「……はい」
◇◆◇◆◇◆
ケイト
「それじゃあ、タルト持って出直してきてね♪ばいばーい!」
結局、私達はハーツラビュル寮の外に追い出されてしまった。
エース
「なんなんだよ、アイツ〜!」
寮へと帰ってくケイト先輩の背中を、エースが門越しに睨む。