【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第5章 【真紅の暴君】前編
エース
「そうだ。オレも、こんなことやってる場合じゃなかった」
寮長さんに謝ってエースの首輪を外してもらわなきゃいけないんだった。
薔薇の色塗りが衝撃的過ぎて、肝心のハーツラビュルまで来た目的を忘れてた。
エース
「寮長に話があるんですけど、まだ寮内に居ます?」
ケイト
「ん?まだ居る時間だと思うけど……ところで、寮長のタルトを盗んだエースちゃん」
ケイト先輩が、エースを見ながらニッと笑う。
ケイト
「お詫びのタルトは持って来た?」
エース
「え?いや、朝一で来たから手ぶらすけど……」
ケイト
「あちゃ〜。そっかぁ」
え……なんか嫌な予感……
ケイト
「それじゃあ、ハートの女王の法律・第53条『盗んだものは返さなければならない』に反してるから、寮には入れられないな」
エース
「はあ?なんだそりゃ!?」
ユウ
「そんな法律が!?」
いや、内容的には人として当たり前なものだけど、まさか法律で決められてて、条件を満たさなきゃ謝ることすら許されないなんて……
ケイト
「この寮に居るからには、ルールに従ってもらわないと。見逃したら、オレも首をはねられちゃう」
そう言ってケイト先輩は、今度は私達を見て笑う。
ケイト
「悪いけど、リドルくんが気付く前に出てってもらうね」
そして、マジカルペンを構えた。
ユウ
「せ、先輩、何もそこまで……わっ!?」
私が先輩に近づこうとしたら、エースに腕を掴まれて引き戻された。
エース
「ちょっ、あの顔絶対本気じゃん!ユウは退がってろ!お前ら何とかして!」
デュース
「何で俺が!」
エース
「頼むよ!オレ今、魔法使えねえし……」
え、本当に戦うの!?
エース
「うわっ、来た!」
そうこうしてる間に、ケイト先輩がこちらに迫ってた。
エース
「デュース!」
デュース
「くっ」
グリム
「あんなヤツ、オレ様1人でも充分なんだゾ!」
デュースとグリムが、ケイト先輩を迎え撃つ。
私は、エースから更に後ろの方に追いやられてしまった。