第2章 命の代価
「きゃーーーー!!」
「あだだだだだ」
鎧に銃弾が当たる音がするものの身体を貫通することはない。
「アル!いったん出るぞ!」
出口のドアを目指す一向に教主は叫ぶ。
「バカめ!!出口はこっちで操作せねば開かぬようになっておる!!」
「ああそうかい!」
たちまちエドは扉を錬成する。
「出口が無けりゃ作るまでよ!!」
「君も!!」
そう叫んだアルの右腕にはさっきのコートの人物が担がれていた。
若干苛立ちを思わせる顔をしているが暴れる気はないらしい。
追っかけを撒いた一向はとある部屋にたどり着く。
「お?この部屋は…」
「放送室よ。教主様がラジオで教義する…」
「ほほーう」と言って顎に手を置き、ニヤリと笑うエド。
(あ。なんかいやらしい事考えてる)
バン!!と勢いよく放送室の扉が開く。
「小僧ォォもう逃がさんぞ~」
息を切らし、入ってくる教主に、
「もうあきらめたら?あんたの嘘もどうせすぐ街中に広まるぜ?」
というエドの一声にスイッチが入ったように叫び散らす教主。
我が野望というものをズラズラと語りだす教主を何も言わずニヤニヤと聞いているだけのエド。
そして堪えられずに思わず吹き出す。
「くっ…ぶはははははは!!だぁーからあんたは三流だっつーてんだよこのハゲ!」
「小僧!!まだ言うか!!」
するとエドがニヤリと笑いながら
「これなーんだ♪」
エドの手にあるのはスイッチオンになっている放送器具。
そして教主の足元に転がるマイク。
教主の顔が一気に青ざめる。
「まっ…まさか…貴様ぁーーーーーっ!!!!いつからだ!!そのスイッチいつから……」
「最初から、もー全部だだもれ♪」
「なっなっなっ…なんて事を~~~っっ」
もちろん、ラジオを伝って放送され、それを聞いている住民は唖然としているだろう。
「…このガキ…ぶち殺「遅ェよ!!」
教主が銃を錬成するより先にエド自身の機会鎧に刃を錬成させ、教主の銃を真っ二つにしてしまう。
「言っただろ?格が違うって」
「私は…私はあきらめんぞ……。この石があるかぎり何度でも奇跡の業で…」
教主は再び銃を錬成するが、バチイッっという不可思議な変成反応と共に現れたのは銃と人の腕が合成されて形を成さないものであった。
「…っぎゃああああああああ!!う…腕っ…私の腕が!!」
「な……なんで…一体…」