第2章 命の代価
「…なるほど、そうか貴様…。なぜこんなガキが“鋼”なんぞという厳つい称号を掲げているのか不思議でならなかったが…そういう訳か。ロゼ、この者達はな、錬金術師の間では暗黙のうちに禁じられている「人体錬成」を…最大の禁忌を犯しおったのよ!!」
その言葉でロゼは思い出す。
いつかのエドの言葉を。
「「太陽(カミサマ)に近づきすぎた英雄は翼をもがれて地に堕とされる」…ってな」
〇第2章〇 命の代価
『母さんを生き返らせることが出来る!』
生命を作り出す事になんの疑いも無かった。
やさしい…本当にやさしい母さんだった。
ボク達はただもう一度母さんの笑顔が見たかっただけだったんだ。
たとえそれが錬金術の禁忌にふれていても、それだけのためにボク達は錬金術を鍛えてきたんだから…
――錬成は失敗だった――
錬成の過程で兄さんは左足を。
ボクは身体を全部持って行かれた。ボクの意識はそこで一度途切れ…
次に目を開けた時に見たものはこの鎧の身体と血の海の中の……
『へへ…ごめんな。右手一本じゃおまえの魂しか錬成出来なかったよ。』
『なんて無茶を……!!』