第1章 2人の錬金術師
「さあ、どうぞこちらへ。教主様は忙しい身でなかなか時間がとれないのですがあなた方は運がいい。」
「わるいね、なるべく長話しないようにするからさ」
そう言ったエドに対し、背を向けたまま師兄はニヤリと笑い、
「ええ、すぐ終わらせてしまいましょう。このように!」
その言葉と同時に銃声が鳴り響く。
アルの鎧の首は転げ落ち、胴体が荒々しい音を立て崩れ落ちる。
それを合図にエドを2人の男が抑え込む。
「師兄!何をなさるのですか!!」
「ロゼ。この者達は教主様を陥れようとする異教徒だ。悪なのだよ。教主様の御言葉は我らが神の御言葉…これは神の意志だ!!」
師兄はエドの頭上に拳銃を構える。
「へーー。ひどい神もいたもんだ」
そこに現れたのは頭部の無い、胴体だけで動く鎧。
同時にエドが右手側にいる男の胸元を掴み上げ、投げ倒し、逃げる男にアルの頭部を投げつける。
「ボクの頭!」と怒るアル。
「どどど どうなって…」
「どうもこうも」「こういう事で」
驚きを隠せないロゼに対して、平然と鎧をカンカンと叩くエドと空洞の鎧の中身を指さすアル。
「これはね、人として侵してはならない神の聖域とやらに踏み込んだ罪とかいうやつさ。ボクも、兄さんもね」
「エドワード…も?」
「ま、その話はおいといて。ロゼ、真実を見る勇気はあるかい?」