第4章 錬金術師の苦悩
(視力…?!そんなの初耳だぞ。しかし、それならば目が見えないはずだ。けど、あいつの戦闘は見てる限りすげぇ。あの的確な攻撃や防御を全て感覚でやってたのか…まっすぐ見られたあの碧眼には何も映ってないってことなのかよ…!)
唖然とするエドにリビアがさらに一言告げる。
『ちなみにあたしはお前を一回も外見で判断したことはない。全ては声と感覚。だからお前の容姿を問われたところでもちろん、答えられない』
正直信じられるような話ではない。
しかし自分たち自身もかなり信じられないことをしてきているはずだ。
「大佐…こいつと手合せがてらに戦っていいか?」
話を聞く限りで未だ信じられないことは置いておき、リビアの事は理解できた。
だが、それでも納得できない戦闘術などが数多にある。
戦闘を知るなら戦闘をするのが一番早くて確実である。
『いいよ』
大佐よりも早く返事をするリビア。
『どうせ、嫌だと言ってもやるんでしょ?』
そんなやり取りを聞いて「好きにするといい」と溜息交じりに呟く大佐であった。
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「まぁ…ここなら問題ないと思うが…あんまり派手な事はするんじゃないぞ」
「せんきゅー大佐」
準備運動を始めるエドと僅かに面倒くさそうに首を回すリビア。
そんな二人を少し離れたところから見つめる大佐とアル。
「おーい、準備いいか?」
エドの言葉にコクリと首を縦に振るリビア。