第4章 錬金術師の苦悩
『あたしはリビア・ディゼル。お前と一緒で十二歳で国家錬金術師になった。七年前、とある内乱であたしが五歳の時に両親は死んだ。そして二年後、七歳で…禁忌を犯した』
その言葉にエドもアルも同じことを思う。
「「やはりこの人物の禁忌を…『人体錬成』を犯してしまったのだ」」と。
しかも七歳という年でそれを犯してしまった。
『あたしが錬成したのは両親だ。今を思うと一人で二人の人間を錬成するなんて馬鹿馬鹿しい、無茶な話だ。もちろん、あたしは軍に連れて行かれた。そこで出会ったのが大佐だった。そして国家錬金術師に…軍の狗になった。』
そう言いながら両手の軍手を外し、エドとアルの方に向ける。
『あたしの軍手は大佐みたく発火布でもないし、身体に直接錬成陣を刻んでいるわけでもない。あたしは…扉を開けた…真理を見たからできるだけだ。ちなみに、あの雷は国家錬金術師になるずっと前、八歳かそのくらいだったかな…。大佐がああやって焔を発火させるって聞いたから、あたしも言われるがまま聞いたまま真似しただけだ』
一度に情報を得過ぎたエドとアルは話が終わっても頭をぐるぐると回している。
「リビアの『雷華の錬金術師』というのは、雷を自在に操るその舞姿が戦場に華を咲かせるように美しいものだからだよ」
リビアの二つ名の由来を話す大佐。
そんな事はどうでもいいという風に大佐を睨むリビア。
「ガキが人体錬成なんて、オレ達ぐらいかと思ってたけど…いるもんだな」
自虐的に笑うエドと無表情のリビア。
「…そういえばお前、どこ持って行かれたんだよ。見た感じ手も足も付いてるし…」
思いついたように聞くエドを見て『やっぱりな』と呟いて、自分の碧眼の瞳を指さす。
「…あ?目?」
『馬鹿、目じゃない。視力だ。』
その一言に衝撃を受けるエドとアル。