第3章 車上の戦い
ここでエドの思考が動き出す。
(…身長は変わらんが、女みてぇな身体、一人称が『あたし』、リビア……待て待て待て待て)
「お前…女?」
未だ信じられないという目でリビアを眺めるエド。
『…今更なんだ、そんな事にも気づかなかったか?』
「だってお前!常にあのコートだし、馬鹿力だし、口悪ィし!」
「気づかねぇよ、普通!」というエドに大佐はさらに衝撃的な真実を告げる。
「鋼の、もう一つ良い事を教えてやろう。リビアこそ『雷華の錬金術師』だ。鋼のと同じ、12歳で国家錬金術師になっている。前に一度話しただろう?」
その言葉にエドだけでなくアルまで呆然とする。
確かに昔、大佐から話は聞いたことがあった。
しかしほんとに同じ年で、しかも女であったとは。
「まぁ、詳しい話は帰ってからゆっくりしようじゃないか」
一行が帰還しようとしたまさにそのときである。
「うわぁ!!」
「貴様…ぐあっ!!」
兵隊たちの叫びと共に拘束されていたはずのバルトが息を荒くしていた。
どうやら真っ二つの機会鎧から仕込みナイフを使って攻撃を仕掛けた様子だ。
「大佐、お下がりくだ…「これでいい」
飛びかかってくるバルドに大佐はパチンと指を鳴らす。
そう、幾度となく見てきたリビアと同じように。
しかし、大佐の場合は雷ではなく…炎である。
「があああああっ」と悲鳴を上げ、転がるバルド。
すかさず兵士たちによって抑え込まれてしまう。
「手加減はしておいた。まだ逆らうというなら次はケシ炭にするが?」
「ど畜生め…てめえ何者だ!!」
「ロイ・マスタング。地位は大佐だ。そしてもう一つ…『焔の錬金術師』だ。覚えておきたまえ」