第3章 車上の戦い
「や。鋼の」
「あれ、大佐。こんにちは」
丁寧に挨拶を返すアルと違い物凄く嫌味な顔を見せるエド。
「なんだね、その嫌そうな顔は」
「くあ~大佐の管轄なら放っときゃよかった!!」
「相変わらずつれないねぇ…っと」
大佐は視線をやや後ろに持って行き
「久しぶりだな、やはり君も乗っていたか。リビア」
リビア…?
聞いたことのない名前にエドとアルは大佐の視線の先に視線を移す。
そこにいたのは金髪ショートの碧眼の人物。
『久しぶり。あんたの管轄だったんだ。スルーすればよかった』
エドと同じことをぼやきながら黒いコートを剥ぐ。
恐らくエルリック兄弟は初めて見るだろう、コートの中身。
黒いワイシャツに白地のブレザー、ショートパンツ、ブーツにあの黒い軍手。
簡単にまとめるなら普通の軍人は黒基調だが、その真逆の白を基調とした軍服、と言ったとこだろうか。
身長はやはりエドと大差ない。
しかし、体格としては想像よりずっと細身で、女性らしい曲線をしている。
一体あの脚力やら腕力やらといった身体能力はどこにあるのだろうかと思えるほどである。
「リビア、君まで鋼のと一緒の事言わないで欲しいね」
『あたしは自分の思ったことを伝えたまでだ』