第73章 *海上フライト*
自嘲的な笑みを浮かべるも、本心ではそんな感覚が心地よいと感じでいて、これからも彼女の優しい心に甘えていくのだろうと、ユウはぼんやり考えていた
『ふ..ぁ〜..』
ユウ『眠たいね。ごめんね、出発まで時間ないのに削っちゃって。さ、少しでも回復しようか』
『ん..ユウ、おやすみ』
馬乗り状態から横に寝転がり、レイラの体を優しく抱きしめトントンと背中を叩く
疲れから来る眠気はすぐに訪れ、レイラの意識は深く微睡んでいった
ユサユサと軽く揺さぶられる感覚に、ユウの意識が浮上してくる
ユウ『..ん?誰?』
エペル『ユウクン、レイラチャン、起きて。もうそろそろ出発だってルークサンが呼んでたよ』
眠い目を擦り視界がはっきりしてくると、同じく今起きたばかりの寝起きの顔のエペルが上から覗き込んでいた
ユウ『あ、おはよう』
エペル『おはよ。ふあ〜..』
『んんん〜..眠い』
ユウ『そうだよね。でも夜明けと共に出発って言ってたから、そろそろ起きないと』
カーテンの閉められた窓からは、朝日がもうすぐ昇ってくる事を知らせるように、僅かな薄明かりが入ってきていた。それを横目で見ながら、まだ寝ていたいと胸に擦り寄ってくるレイラに愛おしさを覚えながら、優しく髪を撫でてゆっくり抱き起こした
『う"〜〜〜..』
エペル『凄く唸ってる..レイラチャンって結構寝起き悪い?』
ユウ『そりゃあもう。ほら、顔洗っておいで』
『ん』
準備を済ませて下へ降りると、フワリと食欲をそそる匂いが3人の鼻孔をくすぐる
ルーク『おはよう諸君!昨日の携帯食料の余りで悪いけど、朝食を用意させてもらったよ』
ユウ『おはようございます。わざわざすみません、元は先輩の食料だったのに』
ルーク『構わないよ。空腹の状態で飛行する方が危険だからね。それに、いつ向こうで戦闘になるかも分からない』
ユウ『腹が減っては戦はできぬってやつですね』
『...ん〜』
ルーク『おはよう、兎の君。眠たげな君の姿もとても愛らしい。だが、そう足元がおぼつかないと家具にぶつかってしまうよ。ほら、こちらへおいで』