第73章 *海上フライト*
数分後、再び転送装置による空間移動を行い、4人は英雄の国の別荘へと到着した
ユウ『英雄の国に着いたんですか?』
ルーク『そうだよ。これで、だいぶ距離は稼げたはずだ。少し休憩しよう。夜明けと共に出発するから、それまで各自体を充分休めておくように』
カチ、カチ、と壁掛け時計の秒針の音がやけに大きく響く。しばしの休憩ということで、それぞれ客用の空き部屋に通されたユウたちはベッドで仮眠をとっていた
『んぅ..っ..ふ..はぁ..//』
ユウ『ん..』
髪を梳く手はいつもより強張っていて、どこか怒りをぶつけないように我慢しているような力加減だった
部屋に入るなり抱き上げられベッドに押し倒され、抵抗する暇もなく唇を貪るように奪われた
ユウ『飛んでる時、ルーク先輩と何話してたの』
『へ?』
ユウ『答えて』
『えと、私の匂いが良い匂いだねって』
ユウ『あの匂い嗅がせたの?僕らだけの特権だったのに?それに何だか楽しそうな雰囲気だったよね。もう心許しちゃった?』
『ご、めん..怒らないで。痛いことしないで..っ』
いつも優しく温かく見つめてくる瞳が、今は狂気と怒りで混ざったようなドロドロとした色を纏い、レイラはいつもと違うその瞳に恐怖で体が震えだす
ユウ『!!僕がそんなことするわけないよ。怖い思いをさせてごめんね。あの人に、ヤキモチ焼いちゃったんだ』
泣きそうなレイラにハッと我に返ると、優しく頬を撫で安心させるように抱きしめた。触れ合ったところから感じる互いのぬくもりと鼓動に、徐々に心が落ち着いていく
『ユウ、愛してるよ』
ユウ『僕だって愛してる。君が好きで好きでたまらない。でもダメだなぁ..どんどん自分勝手になって情けなくなってきちゃったね』
『そんなユウも好きだよ』
ユウ『無理しないで。本当は怖かったでしょ?』
『...ん。でも、私を想ってのことだから、大丈夫』
ユウ『そうやってレイラが甘やかしてくれるから、僕らはどんどんダメになっていくんだ』