第72章 *猛追ハンター*
ルーク『...さて、そろそろ出発しようか』
エペル『あ、はい』
ユウ『いやぁ、一時はどうなることかと思ったけど。良かった良かった』
『ん、安心。...っ、くしゅっ..!』
ルーク『おっと、これはいけない。私を追いかけてきてくれたばかりに、君が風邪をひいたなんて事になれば、ムシュー・ハートたちやヴィルからとんでもない制裁を喰らうだろう』
ユウ『レイラ大丈夫!?風邪引いちゃ嫌だよ!ぼ、僕の上着貸してあげるから今すぐ着て!』
ルーク『落ち着くんだユウくん。ちょうど良かった、出発前に君たちを着替えさせようと思っていたところだ。箒で長時間飛ぶなら寮服がおすすめさ。ナイトレイブンカレッジの寮服は、特別な魔法の糸が織り込まれていて、放熱にも防寒にも優れているからね』
ペンを振ると、3人の服装が一瞬でポムフィオーレの寮服へと変わった。エペルは着慣れたものだが、寮服を持たないユウやレイラには初めての服の着心地だった
『あったかい..』
ユウ『なんだか背筋が伸びる服だね』
ルーク『我らが女王の御前へ向かうんだ。正装でなくてはね。エペルくん、飛行ペースは合わせてあげられないよ。付いてこられるかな?』
切れ長の瞳を挑発するように細めると、エペルはニヤリと笑いながら"ナメでもらえば困るや"と箒を手に取った
エペル『飛行術ならマジフト部の1年生で1番の腕前って、レオナサンのお墨付きなんだ。絶対おぐれだりさねはんで!』
ルーク『マーベラス!それでこそポムフィオーレ寮生だ』
エペルの返事に嬉しそうに笑みを浮かべたあと、今度は同じく箒を手に取り、飛ぶ準備を始めるレイラの方へ視線を向ける
ルーク『レイラくん、君は私の箒へ』
エペル『え?』
『...私じゃ2人に付いてこられないって思ってるから?』
ルーク『いいや。君のことをか弱い小動物などと思っていないさ。ただ何かあった時に真っ先に君を守れるよう、手の届くところにいて欲しいんだ』
『....』
ルーク『君にとって裏切り者の私のことは信用できないと思うが..どうか、私に君を守らせてほしい』