第72章 *猛追ハンター*
ルーク『..ナ・イ・ショ。ふふふ。旅行を愛したご先祖様たちに感謝をしなくてはならないね。我々がいないと気づいた先生たちが網を張っている可能性もあるし、公共機関を使うのは避けたかったから。
ああ、しかしご先祖様はこのことを知れば顔をしかめるかもしれないな。先生に怒られるようなことに使うな、と。だが、これも美と愛のため。ご先祖様、どうかお許しください』
申し訳無さそうに眉を下げ、夜の星を仰ぎながら罪を請う。だが、すぐにパッと表情を戻すと荷物を片付け始める
ルーク『..さ!作戦会議も済んだ所で、抜け出したことがバレない内にすぐ出発しよう!』
エペル『..ふふっ』
ルーク『?何を笑っているんだい、ムシュー・姫林檎?』
エペル『いえ。ルークサンってすごく変わってるし、実家も凄いお家っぽいのに..先生に隠れて悪いことする時は、普通にコソコソするんだ..と思っただけです』
ルーク『我が校の教師陣が降らせる裁きの雷を恐れない生徒がいるかい?私もナイトレイブンカレッジに所属する問題児の一人だということさ...ん?』
そう言っていたずらな笑みでウィンクを飛ばしたルークは、ユウの隣で肩を震わせる小さな体に気づく
ルーク『兎の君?どうかしたのかい』
『狩人さんも悪い子なんだなって。んふふ..』
ルーク『..悪い子な私はお気に召さないかな?』
『ううん。悪い子な狩人さん、私は好き』
ルーク『!!...好き、かい?』
『ん』
ルーク『〜〜っ、ああ!!愛らしい君からそんな言葉をもらえるなんて、私はなんて果報者なんだ!!聞いたかいエペルくん!?あの兎の君から愛の言葉がっ!』
エペル『は、はい。聞きました、けど..』
『悪い子な狩人さんは、だからね』
まさか自分に好きという言葉がレイラからもらえるとは思わず、にやける顔を隠す余裕もないくらい舞い上がる。そんなルークに若干引き気味なエペル。その隣で真顔で返すレイラに、ユウは苦笑いでいるしかなかった
ユウ『あはは..(でも、レイラからこんなにも早く"好き"をもらえるなんて。やっぱり油断できないなぁ)』
『ユウ?』
ユウ『ねぇ、僕のこと好き?』
『勿論。大好き』
ユウ『うん..ありがとう』