第72章 *猛追ハンター*
ルーク『対象が魔法を遮断する乗り物や施設に入った場合、道標は途切れてしまう。カローンたちがヴィルたちを輸送に用いたのは、装甲で魔法を遮断する魔導ステルス機だったようだ』
エペル『えっ!じゃあ、ルークサンのユニーク魔法でも追跡は不可能ってこと..かな?』
ルーク『いいや。いかに魔導ステルス機と言えど、完全に魔法をシャットアウトすることは不可能。ステルス機は自らレーダーや魔法を発する際、ごく短時間そのステルス性を捨てざるを得ない。
その一瞬..私には"視える"のさ。私がユニーク魔法で獲物につけた印がね。ぽつり、ぽつりと..まるで森で彷徨うか弱き姫君が残した、可憐な足跡のように』
不敵な笑みを浮かべ、再び魔力が彼の周りに収束していく。魔法で生み出した矢を構えて、もう一度夜空へと狙いを定める
ルーク『私は狩人。狙う獲物は、絶対に逃しはしない!』
先程よりも鋭い風切り音と共に矢は夜の彼方へ消えていく。地図には次々と印が浮き出て、ある一つの大陸を超えた先の海の上で現れなくなった
ルーク『ーーーーー視えた!彼らは賢者の島を有する"黎明"の国を出て、"珊瑚の海"を北上。"陽光の国"と"英雄の国"を越え..海上でばったりと痕跡は途絶えている』
ユウ『つまりそこに嘆きの島が』
『グリムもみんなも、そこにいる』
ルーク『しかし、賢者の島から嘆きの島まではかなり距離がある。箒だけで移動するのは無理だろう』
エペル『え..じゃあ、どうやって移動するつもりだったんですか?』
ルーク『我がハント家のご先祖様の中に、大変な旅行好きがいてね。先人が世界各国に建てた別荘があるんだ。そしてその別荘には、別荘同士をつなぐ魔法の転送装置が備わっている。それを使わせていただこう。
幸運にも、黎明、陽光、英雄..それぞれの国に1つずつ別荘がある。転送装置を使えば、一晩でかなり距離が稼げるはずさ』
エペル『え、ええ!?世界各国に別荘!?しかも、国をまたぐ魔法の転送装置の設置って、国から特別な許可が必要..ですよね?ルークサンの実家って、一体何の仕事をしてるんですか!?』