第72章 *猛追ハンター*
静かに紡がれる彼の声は、後悔と少しの悲しみの声色で夜の闇に溶けていく
ルーク『エペルくん。自分の心に素直になれる君は、強く美しい。それらしい理由を重ねて、自分の心を誤魔化そうとしていたことが恥ずかしいよ』
エペル『どういうこと、ですか?』
ルーク『私も同じさ、エペルくん。本当は愛する友人が傷つけられ、いても立ってもいられなくなっただけなんだ。こんな自分勝手な行動に、先生や友人を巻き込むわけにはいかない。そう思っていた。でも..』
エペル『それこそ今更じゃないですか?もうとっくに巻き込まれまくってます』
ルーク『そうだね..いいよ、共に行こうじゃないか。エペルくん、ユウくん、レイラくん』
エペル『!!』
ルーク『ただし、3人とも絶対に私の指示には従うこと。約束できるね?』
エペル『おう!!..いや、はいっ!へへっ、やったな』
ルーク『私やエペルくんは、猪突猛進になって周りが見えなくなりがちだからね。いつでも物事を俯瞰できる君たちの目線は、きっと我々の助けになるだろう』
ユウ『自分にできることを頑張ります!』
『私も頑張る』
エペル『ルークサンが周りが見えなくなってるところなんか、見たことない気がするけど..猪突猛進ってところだけは、ちょっと納得、かな?』
ルーク『そんなことはないよ。さっき鏡舎でも、周りが見えていなくて君にぶつかってしまったじゃないか』
エペル『あはっ、そういえばそうです。というか、ポムフィオーレの人達って..ヴィルサンも含めて、みんな見た目に似合わず猪突猛進な人が多い..かも』
ルーク『ふふ。我が寮のモットーである"奮励"という言葉には..気力を奮い起こし勇んで立ち向かうという意味もあるからね。文献や石像に姿を残す美しき女王は、どれも羞花閉月な美しさだけれど..もしかしたら、実はすごくアクティブな女性だったんじゃないかと私は思っているよ』
エペル『でも、僕達みたいにしびれを切らして、自ら外に飛び出すようなことは..流石にしなかったんじゃない、かな?』
ルーク『ははは!違いないね』