第72章 *猛追ハンター*
ルーク『それは..』
エペル『止まんねば、ただぎおどしてでも止めるや!!箒のさぎさ火つけでやる!くらえ!』
マジカルペンを構え炎の魔法をルークの箒の先へと飛ばすが、放たれた炎はルークに当たることなく彼の横を通り過ぎて落ちていく
エペル『くそっ!飛びながら魔法を撃つと、箒のコントロールが..』
普段マジフト部でやっている以上のスピードで飛行している上、慣れない片手での箒の操作と魔法使用にエペルとユウの乗る箒がバランスを崩しかける
ユウ『ゆゆゆ揺れる〜!!こっちが先に墜落するよ!』
『林檎くん、ユウ、危ない!』
ルーク『ノン!やめるんだエペルくん!』
エペル『あんたが止まったらやめてやる!はっ!』
ルークの静止も無視して再び炎の魔法を放つ。しかし、今度もまた命中することはなかった
エペル『うぐぐぐっ..!まだまだ!もう一度!』
ルーク『ダッコー!ダッコー!分かったよ、降参だ!エペルくん、とりあえずどこかに一度着陸しよう』
エペルたちの墜落を危惧したルークは慌てて降伏すると、安全な場所へと誘導しようとするが、エペルは首を横に振って再びペンを構えた
エペル『嫌だ!絶対に帰らねぇぞ俺は!』
『林檎くん、違うよ。狩人さんはこのままだと私達が危ないから、一回降りよって言ってるだけだよ』
ルーク『そうさ。まずは落ち着いて話をしよう。それに、その服で飛び続けたら、すぐに体が冷え切ってしまうよ。まったく..風除けの魔法も施さずに。3人とも唇が真っ青じゃないか。
もう追い返そうしたりなんかしないさ。だから私についておいで』
3人の必死さが嫌というほど伝わり、感心・驚きとともにここまでの無謀さに少しの呆れも混じった顔で、3人を率いて近くの平地へと降下していく
着陸したそこは多くの自然が生い茂る大きな湖の畔だった。飛んでいる時は必死だったエペルたちに、思い出させるように夜の冷えが一気に襲いかかる
エペル『うっ..うう..さびぃ..』
ユウ『こ、凍えそう』
『ふ..ぅ....』
ルーク『手も頬も氷のようだ。急いで火を起こすからね』
そっとレイラの頬に手を添え、その冷たさに眉をひそめると近くに落ちている枝をかき集めると、炎の魔法で焚き火を作り出した