第72章 *猛追ハンター*
上空
エペル『うっ、風が強い..ユウくんしっかり掴まってて』
ユウ『が、頑張る』
エペル『レイラちゃんは大丈夫?』
『なんとか..』
3人は現在ナイトレイブンカレッジを出発し、ルークが飛び去っていった方角の空を箒で飛んでいた
白銀の大きな月がぽっかり浮き、満天の星空が輝く空は美しかったが、夜特有の寒さと強烈な向かい風に苦戦していた
エペル『かなり飛ばしたから、そろそろ追いついてもいい頃だけど』
『うう..風、目痛い』
ユウ『エペルくん、少しスピード落とそう』
エペル『そうだね。僕も結構きつい』
『!!待って、誰かの声..』
向かい風のぶつかる音ではっきりは聞こえないが、それでも確実に誰かの声がレイラの耳を掠めた。急いでピンと耳を立てて前方へ向け集中して聞くと、声の主の正体に聞き覚えがあった
『この声..狩人さんだ!』
エペル『ほんと!?よし、一気に追いつこう!レイラちゃん、まだ行ける?』
『ん!』
エペルとレイラはそれぞれの箒を掴む力をグッと強めると、魔力を込め更にスピードを上げていった
暫くすると、前方に見慣れた姿が小さな点から段々と大きくはっきり見えるようになり、きらめく金髪を見た瞬間、その正体が確信へと変わった
『やっぱり狩人さん!』
エペル『絶対追いつく!..ルークサーーン!!ルークサーーーン!!!』
その背中へ届くようにエペルは大声でルークの名を呼ぶ。すると、その声に気づいたのかルークの顔がこちらへと振り向いた
そして3人の姿を捉えた瞬間、ハンターグリーンの瞳が大きく見開かれる
ルーク『えっ?』
エペル『追いづいだ!!待でっきゃこのーーーー!!!』
ユウ『そこの箒、止まりなさい!!』
『大人しくお縄に頂戴しろ〜〜』
ルーク『エペルくん!?ユウくん!?レイラくんまで!?私を追ってきたのか!?』
エペル『決まっちゃあべな!追ってこねど思う方がどうがしちゃあね!あんたっと1人で行がせね!わも行ぐ!』
ルーク『オーララ!いけないよムシュー・姫林檎、危険だ!』
エペル『危険なのはあんたも同じだべ!あの鎧のだぢさなんも歯立だねがったべよ!』