第72章 *猛追ハンター*
エペル『うわっ!?』
?『ノンッ!』
突然鏡の向こうから謎の人物が飛び出し、咄嗟のことに対応できずエペルはその人物と肩がぶつかってしまった
『林檎くん、大丈夫?』
エペル『いでで..だいだ。急に鏡がら飛び出してきたのは!危ねべな!』
ルーク『すまない、ムシュー・姫林檎。先を急いでいて..怪我はないかい?』
肩を押さえながらぶつかってきた謎の人物へと鋭い視線を向けると、そこに立っていたのは寮生の安否を確認するために先に戻っていたはずのルークだった
エペル『なんだ、ルークサンか..珍しいですね、前もろくに見ないほど慌ててるなんて』
『箒に荷物..どこか出かけるの?』
視線の先には、明らかに遠出をするであろう大きさの荷物と、移動のための箒がルークの手に握られており、指摘を受けた瞬間わずかに彼の手がピクリと動いた
ルーク『そうなんだ。しばらく学園には戻れないかもしれないけれど..どうか元気で』
エペル『えっ!?しばらく戻れないって、どういう事?一体どこに行くつもりです!?』
ルーク『嘆きの島さ!!』
エペル『え、えええ〜〜っ!!??』
エペルの絶叫が鏡舎中に響き渡り、ユウたちは声を上げなかったもののその表情は驚愕に満ちていた
ユウ『今から、ですか!?』
『..ヴィルさんを追いかけるの?』
ルーク『ウィ。危険は承知の上だよ。だが、どうか止めないでくれたまえ。私は寮に戻り、恐ろしい事実に気がついてしまったのさ』
エペル『えっ、恐ろしい事実って..?』
恐る恐る問いかけると、ルークは深刻な表情でその"恐ろしい事実"を告げた
ルーク『囚われた時に、ヴィルが..
スキンケア用品を何1つ所持していなかったことに!!』
エペル『..はい?』
ルーク『季節の変わり目は肌が揺らぎやすい。特に乾燥は美肌の大敵。適切なケアを怠れば、すぐに額や顎に禁断の赤き果実が実るだろう』
エペル『禁断の赤き果実って..?』
ユウ『もしかして、ニキビのことですか?』
ルーク『ニキビ..それは若さの象徴であり、チャーミングでもある。しかし..ヴィルは来週、雑誌のカヴァー撮影が控えているからね。"撮影には万全なコンディションで"が彼の美学だ』