第71章 *強靭インベーダー*
なんの躊躇いもなしに呟かれた死の可能性に、カリムは普段の彼からは聞こえない怒りを含んだ低い声で下から睨み上げる
その時
パリパリッ!!!!
『『『!!??』』』
突然何かが割れる音が背後から聞こえ、また奇襲かと一斉に全員が振り向くと、学園長の席の後ろにある唯一の大きな窓ガラスに遠目からでも分かる程の大きなヒビが一直線についていた
カリム『な、なんだ!?』
トレイ『ガラスが..』
ラギー『いきなり何で?ってか、大丈夫っすかレイラちゃん』
一番窓に近い椅子に座っていたレイラに破片でも飛んできていないかと駆け寄るが、当の本人は静かに首を横に振った
『大丈夫..ごめん』
ユウ『どうして謝るの?』
『...』
ギュッと膝の上で拳を握りしめながら口をつぐむ姿に、ユウとラギーは顔を見合わせて互いに疑問を浮かべる
トレイン『フィリアス、お前の仕業だな?』
『『『え?』』』
トレインの確信めいた視線にビクッと体を震わせるが、今度はその首を縦に振った
ユウ『どうしてそんなことしたの?』
『..リドルさんたちが怖いことされてると思ったら、死んじゃってるかもしれないと思ったら..』
ユウ『レイラ..』
ジェイド『申し訳ありません。僕が不安にさせてしまったようですね』
ユウ『ジェイド先輩』
何てことしてくれたんだと言いたげに、レイラを抱きしめながらカリム同様鋭い視線を向ける
『いい。ジェイさんが言ってること、絶対ないわけじゃないのは分かってる』
トレイン『..窓の件については、学園長が戻られた時に私から説明しておく』
『ありがと』
フロイド『っていうかさ..さっきウミウシ先輩たちの話聞いてて思ったんだけど』
微妙に気まずい空気を断ち切るように、フロイドは一歩前に出ると頭に浮かんでいた1つの疑問を口にした
フロイド『あいつら学園を派手にぶっ壊して、目撃者もすげーいるじゃん。動画撮ってたやつとかもいるっしょ。全然組織を秘匿する気なくね?それとも、そんくらい後から帳消しにできる手段があるってこと?』
トレイン『...』
ラギー『なーんか、嫌な感じっすね。レオナさんたちの心配より、自分たちの命を心配したほうがよさそうっす』