第71章 *強靭インベーダー*
『っ...ヴィルさん、ジャミさん、グリム..っ!!』
壊れた窓から叫ぶが、既に彼らを攫った集団の姿は小さくなっていく
カリム『ヴィルっ!!ジャミルーーーっ!!!』
カリムも駆け寄り、いつもは見せない酷く慌てた声と表情で届かない手を伸ばす
ルーク『ぐっ...!』
痛みに耐えながら立ち上がると、一度大きく深呼吸して自身を落ち着かせ、混乱状態に陥っているであろうカリムへと近寄っていく
ルーク『カリムくん!まずは負傷した下級生の手当が優先だ。私が彼らを医務室まで運ぼう』
カリム『でも、ジャミルが!ジャミルが...っ!!』
ルーク『カリムくん!!』
身内の突然の誘拐に大きく取り乱すカリムに、ルークはその両肩を強く掴み真正面から目を合わせる
ルーク『..冷静になれ。ジャミルくんは拐われた。君一人で、寮長としての役目を果たすんだ』
ルークの聞いたこともない程の低く真剣な声と、ハンターグリーンの瞳に幾分か落ち着きを戻したカリムは、小さく息をはくと”分かった”と頷いた
カリム『オレは他の寮長たちに招集をかける!』
エース『...で、ない...』
『『え..?』』
エース『リ、ドル寮長、に..電話した、けど..出なかっ..』
言い終わる前に糸が切れたようにバタッと倒れ、カリムたちは1つの予感が頭をよぎった
カリム『..まさか!?』
その頃、謎の集団による襲撃事件は他の場所でも起こっていた。馬術部のいる厩舎、暖かな植物園、ボードゲーム部のいる教室。そして、狙われたのはそれぞれの場所にいたリドル・レオナ・アズールだった
リドルはヴィルたち同様に抵抗の末に、レオナは自ら投降、アズールは抵抗の色を見せていたものの、集団の事について知っている様子のイデアに促され投降した
そして集団はクロウリーのいる学園長室にも現れた。教師陣が集まって会議をしていた中の突然の不審者の登場に身構えるも、クロウリーは大人しく彼らについて行った
集団は自らを”S.T.Y.X所属・特別魔導警備班カローン”と名乗った