第70章 *会合アゲイン*
ヴィル『そしてネージュは自らの経歴について、メディアで一切語ったことはない。でも、ルークはこの話..知っていたんでしょう?』
ルーク『..ああ。白雪の君の一番の魅力は、愛らしい笑顔..だがそれは、数々の苦難を乗り越えてのもの。だからこそ、人々はあの笑顔に魅了されるんだろう。そして、彼はギャランティの殆どをボランティア団体に寄付しているとも言われている』
『ギャ..?』
ユウ『お仕事で働いた分に貰えるお金のことだよ』
『ふ〜ん...』
ユウ『(レイラなんだか機嫌悪い?まあでも、そっか..嫌なこと思い出しちゃったもんね)』
ヴィル『..よくそこまで知っていたわね。それも一般公開はされていない情報のはずだけれど』
ルーク『コアなファンの間では、有名な話さ』
ヴィル『そう..VDCの優勝賞金も、全額寄付されたと風の噂で聞いたわ。世界中の、未来ある子どもたちのためにね』
カリム『あいつらに、そんな事情があったなんて..』
同情の声をもらすカリムを見て、ヴィルは半ば諦めのようなため息を一つはいた
ヴィル『..はあ。ほら、ごらんなさい。もしVDC以前にネージュの生い立ちを知っていたら..あんたたちはステージ上で全力で戦い、自分のチームに投票できた?同情というフィルターを通さず、ネージュたちのパフォーマンスだけを評価できた?』
その言葉にデュースやエペルは黙り込んでしまい、カリムやユウも反論できる言葉は見つからなかった
ジャミル『..他のメンバーはさておき、カリムには無理だったでしょうね』
カリム『いや、そんなことは..う、うう..わかんねぇ..』
エース『オレは気にせず自分に投票できたけどね。レイラだってそう思ってんでしょ?』
エースからの視線を受け一瞬戸惑いを見せるも、当たり前だと言わんばかりに頷いた
『..だって、VDCにあの人の過去なんて..関係ないもん』
エース『そーそー。過去の苦労のデカさじゃなくて、パフォーマンスを競う大会でしょ?』