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【ツイステ】黒兎は駆け巡る

第70章 *会合アゲイン*





一人未だに認めることができない、と震える拳を握りしめるレイラをジャミルは横目でちらりと一瞥すると、そっと口を開いた


ジャミル『ヴィル先輩の仰りたいことは分かります。しかし、VDCの練習中にも話題に上がりましたが..大会当日のパフォーマンスの出来以前に、ネージュたちの世間からの好感度は相当なものです。例え俺たちが”万全”な状態だったとして、ステージで”全力”が出せたとは限らない。そして”万全”な状態での”全力”を出せても、優勝できたかどうかは分かりません。

好感度というものは、努力や実力では埋めがたいものですから』


カリム『ジャミルの言う通りだ。だから、そんなにヴィルばっかが責任感じる必要ねぇって!』


ヴィル『そうね..でも、ネージュたちにはネージュたちなりの努力や苦労がなかったわけじゃないはず』


『『...!』』


ヴィル『アタシも彼らのパフォーマンスを見た瞬間、動揺して強い否定の言葉を使ってしまったけど..大衆性を備え万人を摂り込む努力と、技術を研鑽し万人を圧倒する努力は、どれも等しく努力。アタシたちは努力の方向が違っただけ。そもそも、ネージュたちがどんな努力をしたか..あんたたちは知らないでしょう?』


エペル『え?どういうことですか..?』


ヴィル『最初にアタシとネージュが共演した時..ネージュはいつも”家の掃除をしなくちゃ”と言って、残ってレッスンするアタシより先に帰った。アタシはそれが腹立たしくて仕方なかった..彼が、才能に甘えた人間だと思ったから。

でも、ある時知ったの。

ネージュは、VDCに一緒に出場していたドワーフたちと、一緒に暮らしていたそうよ。子役としてアタシと出会う前からずっと。彼らだけで肩を寄せ合い、支え合いながら』


デュース『えっ、子役時代からずっとあのメンツで..ですか?』


ヴィル『ええ、詳しい事情は知らないけれどね。家事をして、レッスンに通って、そしてまた家事をして、合間を縫って家で練習をして..でもネージュは腐らず、いつも明るく口笛を吹くような調子で、おはようございますと挨拶をしていた。それがどれだけ大変なことか、アタシには分からないわ。だって経験したことがないもの』


エペル『うっ、それは..』



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