第70章 *会合アゲイン*
ヴィル『魔力が尽きるほど戦い抜いた後のステージ。どれほどの気力があったって、練習したパフォーマンスの100%を発揮できたとは思えない』
エペル『そんなことねぇ!あのステージは、今までで最高だったはずです!』
デュース『そうですよ。シェーンハイト先輩だって、僕達だって..今までで最高の力を出し切れた!』
『ん..すごく良かった。一番だって私も思ったもん』
エース『...でもさ。その”最高”ってオレらの主観..だけどね』
デュース『なっ!お前、またそんな事を..っ!』
エース『生死をかけた戦いを乗り越えて、超ラッキーにもマレウス先輩にステージ修理してもらって..全力でラストまで踊りきった。マジで凄かったし、オレだって最高のステージだったと思ってる。でも..』
ジャミル『演者の満足感は、観客の満足感とイコールではない..ということだな』
エペル『そ、それは..』
『でも、私は観客だったけど、一番だと思ってたよ..』
食い下がるように言葉を紡ぐと、隣に立つエースはそっと頭に手を置いて諭すように語りかける
エース『それは、お前もオレらと一緒に過ごして、戦ってたから気持ちがこっち寄りっていうか、ほぼ同じだったからだと思うぜ』
『...』
ヴィル『エースとジャミルの言うとおりよ。後から収録された映像を冷静に見れば見るほど、あたしたちが普段の実力の半分も発揮できなかったことが分かる。
ズレるポジショニング、上がりきらない足、バラつく指先..あんな激しい戦いの後なんだから、当然よ。”全力”だった。でも”万全”じゃなかった』
『でも..っ..ううん、何でもない..』
ヴィル『あんたの気持ちはよく分かる。でも、アタシはあんたたちメンバーを”万全”の状態でステージに送り出すことができなかった。
VDCで優勝できなかったのは、アタシのせい。本当に、リーダー失格よ』
『『.,.』』
淡々と自らの非と不完全なパフォーマンスだったことを述べていく言葉に、ユウたちはそれぞれの心の中で黙って噛み締めた