第69章 *イグニハイド寮編〜冥府の番人〜深刻ミッシング*
一方、二人から離れたディオンはまだ納得いかないと言った様子でエミリアとその様子を見ていた
エミリア『許してあげないの?』
ディオン『そう簡単に割り切れるほど僕は大人じゃないんだよ。寧ろ子供。優しい心で相手の罪を許してあげられるあの子の方がずっとずっと大人だ』
エミリア『本当に、家族想いね。少し言い過ぎだけど』
ディオン『..僕は家族を大事にしたいだけさ。僕にとっては家族だけが全てだ。不必要な死は、もう見たくないからね』
エミリア『ディオン..』
どこか遠い目で空を見上げるディオンの悲しげな表情に、エミリアは眉を下げると、そっとその頭を一撫でしてその場を離れた
トレイ『良かったな、リドル。このままどうなる事かとヒヤヒヤしたが』
ケイト『レイラちゃんのパパって、結構怖い人なんだね』
エース『オレ、マジで足すくんで動けなかったわ』
デュース『僕もだ。一歩どころか足そのものが棒みたいだった』
ユウ『息止まったぁ〜..』
エミリア『ごめんなさいね、みんな。怖がらせちゃったみたいで』
ユウ『ママさん』
エミリア『キツイこと言ったけど、あの人は大好きな家族を守りたいだけなの
...ディオンは、小さい頃に事故で大好きなお母さんを亡くしたらしいの。しかも、彼の目の前で』
『『『!!!』』』
エミリア『暴走車が突っ込んできて、咄嗟にお母さんがディオンを押しのけた事で助かったんだけど、そのままお母さんは一人犠牲になった。それからディオンは家族を何よりも大事にして、絶対に守るって決めてるの。もう二度と、大切な人たちに寿命以外の死を迎えさせないために』
ユウ『そんな事が..』
トレイ『目の前で大事な人が亡くなれば、しかも遭わなくてもいい事故が原因となれば、過敏なってもおかしくないな』
エミリア『でもね、レイラが楽しそうに学校や貴方達のことを喋ってるのを喜んで聞いてるから、決して貴方達と過ごしてることを嫌がってるわけじゃないから。ただの嫉妬だから気にしないでね』
エース『嫉妬レベルで済むのかよあれ』
ディオン『さて..そろそろ”あの事”について本格的に考えてみるか』